メディアフォーカス

フジテレビがCS放送のインターネット同時送信を開始

フジテレビは,同社が運営するCS放送チャンネルのインターネット同時送信を14年3月14日から始めた。24時間総合編成によるテレビ放送のインターネット同時送信は,東日本大震災直後を除けば日本ではこれが初めて。

フジテレビが有料でインターネット同時送信を始めたのは,同社のCS放送チャンネル「フジテレビNEXT ライブ・プレミアム」。F1レースやドイツのプロサッカーリーグの中継,それに韓国の「K-POP」などの番組を放送している。インターネットによる同時送信では同月の時点で80%が放送と同一で,残りの20%は権利処理の関係で差し替えた番組となるが,将来的には同一編成を目指す考え。

放送のインターネット同時送信をめぐっては,ラジオでは民放が「radiko」,NHKが「らじる★らじる」ですでに実用化しているのに対して,テレビでは権利処理やビジネスモデルがハードルとなり,実現していなかった。フジテレビでも今回,同時送信を始めたのは3つある同社の有料CS放送のうちの1つで,メインコンテンツのF1やサッカーが海外の権利関係者から理解を得られやすかったことが背景にあるという。

同社の亀山千広社長は今回の同時送信について「地上波の番組配信にすぐにつながることではない」(14年2月28日の会見)と地上波のインターネット同時送信には慎重な姿勢を示す一方で,「ネットに乗り出していかないということではない」とも述べた。同社では「F1開幕戦は多くの視聴があった。出だしは好調」と話している。

関谷道雄