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米・ケーブルテレビ業界,大規模再編か

ケーブルテレビが普及しているアメリカで,業界最大手のComcast(契約者2,100万)が4位のCharter(同400万)と共同で,業界2位のTime Warner Cable(TWC,同1,100万)の買収交渉を進めており,ケーブル業界の大々的な再編につながるのではないかと注目されている。複数の大手メディアが11月22日以降,次々に報じているが,3社ともコメントを拒否している。

LAタイムズによると,最初にTWCに買収を持ちかけたのは,かつて“ケーブル王”と呼ばれたジョン・マローン氏率いるLiberty Mediaが資金提供するCharterだという。しかし,TWCは自分たちより小さい事業者に吸収されることを好まず,Comcastと交渉を始めた。経済ニュースのBloombergは,Comcast単独で買収した場合,市場の独占を禁じた規制に触れるおそれがあるため,ComcastとCharterが連合で交渉を行っているとしている。アメリカのケーブル業界はこれまで合従連衡が繰り返され,その結果ComcastとTWCが二大事業者となった。しかし,衛星放送や通信事業者と激しい契約獲得競争が続いている上に,最近ではNetflixなどの安価な動画配信サービスが普及して,ケーブルの解約が増えている。また,番組供給事業者からはコンテンツ配信料の値上げを求められるなど厳しい状況が続いている。こうしたことから,ケーブル事業全体の生き残りのためにTWC買収の話が浮上したとワシントン・ポストは伝えた。買収が決まっても,FCC(連邦通信委員会)や司法省による審査が行なわれ,消費者団体からは独占によるサービス低下に反対する声が上がることが予想され,今後の交渉の行方が注目される。

柴田 厚