メディアフォーカス

AMラジオ事業者の約8割がFM活用希望 V-Low帯含めた帯域活用のあり方議論へ

4月25日に行われた第3回「放送ネットワークの強靭化に関する検討会」において,「ラジオの強靭化に関する調査」の結果が報告された。調査は全ラジオ事業者101社(NHKはAM・FMを各1社とカウント)に対して行われ,送信所の立地や耐用年数,難聴の実態などと共に,災害・難聴対策としてのFM方式の中継局新設の意向が尋ねられた。今後の国の予算を睨んだこの質問に対し,AM・短波事業者は49社のうち39社,FM事業者は52社のうち27社が新設を希望した。

このうちAM事業者がFMを活用する(F活)場合には,新たな周波数の割り当てが必要となる。検討会で示された議論整理メモには,このF 活に加え,これまでコミュニティー放送局の開局を帯域不足のため断念してきた地域に対する新たな帯域活用や,災害時の臨時災害放送局の円滑な開局のための支援の方向性が盛り込まれた。新たな帯域とはすなわち,現在V-Low帯の間に設けられているガードバンド及びV-Low帯の一部である。

また,V-Low帯を巡っては,この帯域を活用したマルチメディア放送の参入調査が同時期に行われており,4月24日に締め切られた。今後2つの調査結果を踏まえ,地デジ化後の跡地利用の姿が描かれていくことになる。

これまでは政権与党の国土強靭化施策の流れを受けた議論が先行し,トータルなメディアデザインの議論がなされていないと受け止める関係者は少なくない。国民の負担で生み出された帯域の有効活用の議論が,広くオープンに行われることを期待したい。

村上圭子