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新型インフルエンザ等対策特別措置法施行 NHK,指定公共機関に

新型インフルエンザや大流行のおそれのある新感染症への対策を強化し,国民の健康保護と生活等への影響の最小化を目的とした新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」)は,2012年5月11日の公布後未施行であったが,政府は4月12日の閣議で関連政令を制定し,翌13日付けで特措法が施行された。また,放送事業者としては唯一,NHK が特措法2条6号の指定公共機関に指定された。

特措法上,指定公共機関には,新型インフルエンザ等の対策に備えた,業務計画の作成・報告・公表,必要物資・設備等の整備等の義務があり,また新型インフルエンザ等の発生時には,その業務についての対策実施及び実施にあたっての国等との相互連携協力等が求められている。

特に,特措法では,政府対策本部長が対策実施にあたり指定公共機関等に対して総合調整権限を有し,指示ができる旨の規定(特措法20条1項,33条1項)があるため,指定公共機関である放送事業者に対して,放送内容の調整,指示が可能となり,放送番組の編集の自由が制限されるのではないかとの懸念が同法案の国会審議において示された。これに対して,政府は,放送法3条に放送番組は法律に定める権限に基づく場合でなければ干渉・規律されないと規定されているが,特措法は,災害対策基本法のように法律にきちんと定めるスキームになっていないことを挙げて,放送内容は総合調整,指示の対象とはならない旨を国会答弁で示した。

山田 潔