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英BBC,新会長の元で再出発

イギリスの公共放送BBCの新会長に4月2日就任したトニー・ホール氏(62歳)は,初仕事として全職員にメールを送り,「想像力と勤勉さを持ってすれば,BBCの最高の日々が我々を待ち受けている」と訓示した。

ホール氏は元BBC報道局長で,人気司会者サビル氏の児童虐待事件などの責任をとって前会長のエントウィッスル氏が辞任したのを受け,新会長に任命された。

就任にあたってホール氏は「BBCの最高の日々が我々を待ち受けている」と題したメールを全職員に出した。この中でホール氏は「BBCは比類なき歴史を持ち,国の核心で特別な地位を占め,国の将来に重要な役割を果たしている。昨今,BBCは困難に直面したが,今,信頼を取り戻しつつある。BBC職員の力量・資質,そして価値観があれば,BBCの将来に自信を持つことができる」と述べた。そのうえで,2022年の開局100周年に向かって,新たな将来構想を年内にまとめたいと表明した。

サビル事件を受けた主な人事異動では,ラジオ局長に移ったヘレン・ボーデン報道局長の後任に,前タイムズ紙編集長ジェームズ・ハーディング氏(43歳)の就任が決まった。ハーディング氏は,フィナンシャルタイムズ紙を経て,2007年からタイムズ紙の編集長を務めた。BBC報道局長という要職に,新聞業界から人材を登用するのは異例のことである。

また,前会長の辞任以来,会長代理を務めてきたティム・デイビー氏は4月2日,BBCワールドワイドのCEO(最高経営責任者)に就任し,同時にグローバル戦略担当の執行役員に任命された。

田中孝宜