メディアフォーカス

セカンドスクリーンアプリ民放独自の展開相次ぐ

スマートフォンやタブレット端末を使って,テレビ視聴と組み合わせて使うことを想定したアプリケーション(以下アプリ),いわゆるセカンドスクリーンアプリを,在京キー局が独自に展開する動きが広がっている。

これまでは,特定の番組を対象にしたアプリが多く,必ずしも視聴中の利用を意識したものではなかったが,2012年6月に日本テレビが,放送中の番組に関するソーシャルメディア(SNS)での盛り上がりや書き込みを一覧できるアプリ「wiz tv」を発表したことを契機に,放送局によるアプリ開発の動きが広がった。2013年2月にはフジテレビが,放送中の番組情報が参照できるアプリ「フジテレビアプリ」を発表。また3月に入ってからは,他のキー局によるアプリ展開が相次いだ。テレビ東京は,スポーツ情報番組を視聴すると,音声認識技術により視聴マイルが貯められたり,関連するSNSの書き込みが見られるアプリを発表した。テレビ朝日は,サッカーのW 杯予選に合わせて「テレ朝リンク」を展開し,TBSは野球の世界大会(WBC)を視聴しながら選手の情報やクイズが楽しめる「TBS LIVE STADIUM」を提供するなど,スポーツ関連のアプリが次々に展開された。

視聴者から見れば,各局の独自展開では放送局ごとにアプリを使い分けなければならず,利便性に課題がある。欧米では,「zeebox(ジーボックス)」など新興企業が放送事業者と提携するなど,業界標準化を目指す動きが始まっており,日本での番組と視聴者を結びつける試みが今後どう進むのか,注目される。

小川浩司