メディアフォーカス

英特許状による活字メディア規制で三党合意

イギリスの保守党,自由民主党,労働党の主要三党は3月18日,活字メディアに関する新しい監督機関を特許状で設置することに合意した。

電話盗聴スキャンダル後に設置されたレベソン判事を長とする委員会は,昨年(2012年)11月,事件の背景にある新聞など活字メディアの倫理と文化を調査し,再発防止策として,現行の自主規制機関(PCC)の改革とあわせ,その活動を監督する機関を法律で設けることを提言した。三党は,「報道被害者の救済」と「表現の自由の保障」というレベソン勧告の基本原理については賛同したが,労働党と自由民主党は活字メディア規制の制度保障を支持し,保守党は反対を表明していた。三党を中心に関係者らの交渉の結果,保守党が提案した特許状によって監督機関を設置する案に修正を加え,合意に至った。

合意した特許状によると,規制の対象は新聞・雑誌・ニュース関連素材を含むウェブサイトと定義され,BBCや商業放送事業者は対象とされない。特許状は業界による自主規制機関を監督するパネルの根拠法となり,改正には上下両院の3分の2の同意が必要と定められた。また,特許状の発効後3年間は財務省が認める政府資金で運営されることとなった。報道機関への政府および業界による介入の歯止めとして,特許状はパネルの役員任命の独立性を保障するシステムを定めるとともに,報道被害者の救済策として,パネルによる迅速な苦情処理を定め,行動規範の違反が認められた場合は,事業者に最高100万ポンドの罰金を科す権限をパネルに与えている。

中村美子