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英政府,地上TVチャンネルの衛星再送信費無料化を要請

イギリスの文化メディアスポーツ省のエド・ヴェイズリーコミュニケーション担当相は1月23日,ロンドンで開催された会議で講演し,衛星放送事業者が公共放送のBBCや商業放送のITVなどに課している衛星再送信費を無料にするよう要請し,注目を集めている。

イギリス政府は2011年5月から,2003年放送通信法の改正に向け作業を進めてきた。政府は,各種セミナーを開くなどして意見の取りまとめを行い,2013年末までに新たな放送通信白書を公表する予定である。ヴェイズリー担当相は,これまでの意見吸収を踏まえ,放送通信分野の規制の枠組みは機能しており,制度改正は革命的というよりは,漸進的な変化がふさわしいと判断していると述べる一方,衛星放送事業者のBSkyBは,BBCやITVなど“公共サービスチャンネル”と規定されているチャンネルの衛星再送信にあたっては,これを無料にするよう要請し,業界の取り決めで無料化できない場合は,政府による制度的介入もあり得ると述べた。

公共サービスチャンネルは2003年放送通信法によって,ケーブルによるマストキャリー,衛星によるマストオファーの義務が課せられ,ケーブルシステムでは無料で伝送されている。調査によれば,Skyのプラットフォームで視聴されるテレビ番組の50%はBBC等老舗の地上テレビチャンネルによるもので,夜間のピークタイム時はさらにその割合が多くなる。昨年Skyは再送信費の値下げを行ったが,BBC等が支払う費用は合計で年間1,100万ポンド(約15億7,300万円)に上ると報道されている。

中村美子