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米,SNS上で高まる「銃規制」の声

2012年12月14日にアメリカ・コネチカット州の小学校で児童20人を含む26人が殺害された銃乱射事件を受けて,ツイッターなどのソーシャルメディア上では,これまでになく銃規制を強く求める声が多数発信された。調査機関ピュー・リサーチセンターが事件後3日間のデータを分析し,結果を公表した。

それによると,ツイッター上での事件についての発信の3割を「銃規制論議」が占めて最も多くなり,「祈り」や「お悔やみの言葉」などを上回った。議論の内訳は,より強い銃規制に賛成が64%,反対が21%,どちらでもないが14%だった。近年,米国内では銃の乱射事件が相次いでいるが,過去の事件では犯人に関する情報や被害者への同情,銃所有の正当性を主張するものなどが多数を占め,銃規制そのものが主題となることは少なかった。しかし,今回は多くの子供が犠牲になったことなどから,SNS上で銃規制を求める議論が長時間続き,特に「祈るのはやめよう,ルールを変えよう」というツイートに代表される実効性のある銃規制を求めるものが目立った。

事件のあと沈黙を守っていた銃所持の有力な擁護団体NRA(全米ライフル協会)は事件から1週間後の会見で「銃を持った悪い奴は,銃を持ったいい奴にしか止められない」と述べ,全ての学校に武装した警官を配置することを訴えた。こうした発言にもSNS上で反発が相次ぎ,さらにこれまでNRAの支援を受けていた連邦議員からも規制強化を求める声があがっていることから,政権2期目を迎えたオバマ大統領は具体的な銃の規制強化に乗り出すことにしている。

柴田 厚