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韓国,KBS新社長選出に組合が反発

KBSの最高意思決定機関であるKBS理事会は11月9日,KBS新社長にディレクター出身で,前副社長のキル・ファンヨン(吉桓永)氏を選出したが,組合は「政権寄り」の人物だとして反発している。

新社長の選出は,キム・インギュ(金仁圭)KBS社長の任期満了にともなうもので,任期は3年である。キル新社長はコリョ(高麗)大学新聞放送学科を卒業,1981年にKBSにディレクターとして入社し,パリ特派員,テジョン(大田)放送総局長,テレビ制作本部長,コンテンツ本部長などを歴任した後,2011年9月から副社長を務めていた。11月23日に行われた就任式でキル新社長は,KBSをコンテンツ中心の創意的な組織に立て直すとともに,財政を安定させるため受信料の引き上げを図るとの考えを表明した。

キル新社長をめぐっては,キム前社長の下でコンテンツ本部長を経て副社長になった人物であるだけに,現在のKBSの体制を安定的に維持し,業務の継続性を図るうえで,適任であるとの評価がある。その一方で,記者や番組ディレクターなどおよそ1,200人で作るKBS第二労働組合からは,「政権寄りの偏向した番組編成を指示してきた人物で,社長としては不適格であり,認められない」「KBSの公営性に悪影響を与えた人物である」などといった反発が強いほか,第一組合からも批判的な声がある。キル氏がコンテンツ本部長を務めていた2011年の初頭に労働組合が実施した信任投票では,キル本部長に対する不信任率は88%に上っていた。

田中則広