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FCC,周波数帯域の競売についての草案を全員一致で承認

米FCC(連邦通信委員会)は9月28日,急増するブロードバンド利用に対応するため,放送局が持っている周波数帯域の競売(インセンティブ・オークション)を行うための草案をまとめ,5人の委員の全員一致で承認した。

競売は,放送局が所有している周波数帯域を自主的に返還してもらい,それをオークションにかけて,需要が急増しているブロードバンド用に転用しようというもので,FCCでは通信事業者などによる競売で150億ドル(約1兆2,000億円)の収入をあげ,帯域を返還した放送局にその一部を還付することにしている。

FCCは2010年に「全米ブロードバンド計画」を発表し,全国に広がる高速ブロードバンド網の構築を目指している。さらに近年,スマートフォンやタブレット端末などの利用が爆発的に増えたことから,安定した通信網の確保が急務となっている。競売は,①帯域を返還する放送局の募集,②空いた帯域を統合し,必要な場合は放送局を他の帯域に移動させる調整作業(リパッキング),③オークションの実施,という3段階で行われる。

周波数の競売とブロードバンド利用については,通信事業者やネット企業などが強く支持する一方で,CBSをはじめとする放送事業者は業界の縮小や影響力の低下につながりかねないとして難色を示している。しかし,地方にある小規模な放送局の中には帯域を売って放送事業から撤退しようとする動きもある。

FCCでは今後,市民や関係者から意見募集を行い,実際の競売は2014年以降に行うことにしている。

柴田 厚