メディアフォーカス

台湾公共テレビ,またも理事選出に失敗

台湾の公共テレビは8月20日,理事候補に対する審査委員の投票を行ったが,大部分の候補が規定の得票を得られず,2年前と同様,理事選出に失敗した。

公共テレビの理事(定数17~21人)選出にあたっては,行政院(内閣)文化部が作成した候補リストを,立法院(国会)の議席に比例した形で各政党が推薦する計15人の審査委員に提出し,その4分の3以上の同意(12票)を得た候補が理事に選ばれる。2年前の審査の際は,野党民進党が推薦した審査委員の反対で大多数の理事候補が同意を得られず,公共テレビは任期切れの理事が継続して運営に当たるという異常事態が続いていた。

5月に馬英九総統の2期目がスタートすると,新しい文化部長のもとで政治色の薄い候補を中心にリストアップが行われたが,今回の審査委員による投票でも同意が得られたのは14人中3人で,既に同意済みの5人を含めても8人と,規定数の半数以下にとどまった。

この結果に対し文化部の龍応台部長は「全力を挙げて作ったリストであり,近日中に再度リストを作れるかどうかわからない」と深い失望を表明,またメディアNGOの媒体改造学社も審査委員会に対し,政治的党派性でなく理念や専門性に基づいた投票をすることと,自らの投票行動への説明責任を果たすこと,特に記名投票の実施を求めた。

公共テレビの関係者によると,今のところ日常業務に支障は出ていないものの,5月14日を最後に理事会が開催されていないため,来年度の事業計画書が理事会で審議されておらず,立法院で同意を得られないおそれがあるという。

山田賢一