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米・新しいスペイン語ネットワーク,MundoFoxが放送を開始

ヒスパニック系住民の増加に伴ってテレビ市場が拡大するアメリカで,スペイン語で放送を行う新しいネットワークMundoFoxが,8月13日に全米50局で放送を開始した。

MundoFoxは,ニューズ・コーポレーション傘下のFox International Channelsと, 南米コロンビアのテレビ局RCN Televisiónが共同で運営するもので,本部をロサンゼルスに置き,ニューヨークやマイアミ,ヒューストンなど50都市の放送局が加盟している。番組は全てスペイン語で,RCNやFox系のスペイン語スポーツ番組制作会社などが作った連続ドラマ(telenovela)やスポーツ中継などを放送する。アメリカにはすでにUnivisionやTelemundoなどの人気スペイン語放送局があることから,MundoFoxは特にニュースに力を入れる。ロサンゼルスから全国版のスペイン語ニュースを放送するのに加えて,加盟各局がそれぞれの地域のヒスパニック・コミュニティの実情を反映したローカルニュースを放送して,視聴者を獲得したいとしている。

国勢調査によると,アメリカ国内では2000年から2010年の10年間に,ヒスパニック系住民が1,500万人以上増え,増加全体の半分を占めている。2010年のヒスパニック系人口は5,100万でアメリカ全人口の16%にのぼり,2050年には1億3,000万人を超えて30%に達すると見られている。不況の影響でテレビ市場全体が縮小する中で,スペイン語圏市場は拡大の可能性が大きく残されていることから,新旧の放送局による激しい視聴者の獲得競争が予想される。

柴田 厚