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カナダ公共放送CBC 効率化計画発表

~ラジオ国際放送を全面廃止へ~

カナダの公共放送CBC(カナダ放送協会)は4月4日,組織の大幅な再編計画を発表した。それによると,同局が運営する国際放送ラジオ・カナダ・インターナショナル(RCI)について,6月26日を最後にラジオ放送を廃止してオンラインサービスに移行し,7言語によるサービスを5言語に縮小することになった。

CBCの財源は,カナダ政府の交付金のほか,広告収入や有料放送による収入などだが,年間予算の3分の2を政府交付金が占めている。財政赤字に苦しむカナダ政府は,3月29日に今後5年間の歳出削減策を発表し,その中で,CBCに対する交付金も1億1,500万カナダドル(95億円)削減されることが明らかになった。

これを受けてCBCは,RCIも含む組織全体のサービス縮小と今後3年間で650人に上る人員削減計画を発表した。さらに,国内放送で広告放送を増やして増収を図るほか,テレビのアナログ放送の送信所など所有する不動産の売却や自社ビルの賃貸事業などで収益改善を図る。国内向け番組の制作本数の削減や再放送の増加も避けられなくなるという。

国際放送RCIについてはロシア語とポルトガル語のサービスをすべて廃止するほか,英語,フランス語,アラビア語,スペイン語,中国語の5言語については短波や衛星放送などのラジオサービスを廃止し,オンラインサービスのみとなる。RCIは,短波の送信所の利用などでNHKの国際放送NHKワールドとも長年協力関係にあったが,その関係も大幅に変更を迫られることになった。

斉藤正幸