メディアフォーカス

米,4人に1人がモバイルでニュース取得:ピュー・リサーチセンター報告書

アメリカの独立調査機関ピュー・リサーチセンターが毎年発行している『The State of the News Media(米国ニュースメディアの現状)』の2012年版が3月19日に発行され,昨年1年間で米国内ではモバイル機器が急速に普及し,アメリカ国民の4人に1人がスマートフォンやタブレットの携帯端末でニュースを取得していることなどが報告された。

それによると,2011年は国民の27%がモバイル端末でニュースを読み,さらにモバイル利用者はポータルサイトよりも,専用アプリで新聞やテレビなどのニュース専門サイトに,直接アクセスする傾向があるとしている。

また,2011年は東日本大震災や“アラブの春”などの重大ニュースが多かったことから,ニュースに対するアクセスが増加した。ニュースのウェブサイト利用者は前年に比べて17%増えた。また,ABCなどネットワークテレビの視聴者も5%増と,この10年で初めてプラスに転じた。ローカルテレビでも朝と夕方のニュースを中心に5年ぶりに視聴者が増え,ケーブルテレビも利用者が増加した。一方で活字メディアは低調で,雑誌は横ばい,新聞は引き続き利用者数の減少が続いている。

デジタル機器を使ったニュースへのアクセス増とは裏腹に,報告書はメディア企業の収益は依然として厳しい状況が続いているとしている。前年に比べて広告収入が増加したのはネット(23%)とケーブル(9%)のみで,テレビ,新聞,雑誌は減少した。報告書では,2012年は新聞など多くのメディア企業でデジタル購読への「課金」が進むと見ている。

柴田 厚