メディアフォーカス

英メディア調査委員会でBBC経営幹部も証言

イギリス大衆紙の盗聴事件をきっかけに,キャメロン首相の要請で設置されたメディア調査委員会のやり取りで,1月24日,BBCの監督機関であるBBCトラストのパッテン会長が,政府によるメディア規制について改めて反対を表明した。

レベソン判事を委員長とするメディア調査委員会(通称レベソン委員会)では,盗聴事件の全容解明を進めるとともに,報道倫理やメディア規制のあり方を検討するため,2011年11月から聴聞会を続けている。これまでに,被害者側から盗聴された誘拐事件の犠牲者遺族や,作家のJ・K・ローリングさん,俳優のヒュー・グラントさんら50人を超える人が証言した。

次いで,メディア側の関係者が順次,証言を行っており,1月24日にはBBCの経営幹部が出席した。この中で,BBCトラストのパッテン会長は,「政治家は新聞に媚びすぎている」と,暗にマードック氏と政治家の関係を批判した。一方で,国がメディアを規制することについては「新聞は自分たちで汚れを掃除できることが望ましい」と述べ,改めて否定的な見解を示した。また,BBCのトンプソン会長は,内部調査の結果,BBCは盗聴や警察への不正な金銭供与は行っていないものの,私立探偵は2005年以降232回雇ったことを明らかにした。しかし,その主な業務は安全確保や監視で,「BBCは,世界で最も信用されるニュース源であるために,最大限厳しい基準に基づいて取材を行っている」と強調した。

2011年7月に発足したレベソン委員会では,聞き取りを受けた報告書を,一年以内にまとめることにしている。

田中孝宜