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フィンランド,テレビ受信料からYLE税へ変更

公共放送YLEの財源調達問題を検討していたフィンランドの議会において12月16日,テレビ受信料からYLE税への変更案について,全党が合意に至った。2012年春に法改正を行い,2013年1月から新制度に移行する。また,現行の受信料制度の最後の年となる2012年のテレビ受信料は,244.90ユーロから252.25ユーロに値上げされることも決定した。

現行制度からの最大の変更点は,YLE税の税額に累進課税方式を採用していることである。これまで,テレビ受信機所有を根拠に同一金額のテレビ受信料が徴収されてきたが,新制度では,個人の所得に応じて50ユーロから140ユーロの幅で税務当局により徴収される。低所得者は全額免除となる。事業所については,年間収入が40万ユーロから100万ユーロの事業者は317ユーロ,100万ユーロを超える事業者は634 ユーロを徴収される。徴収された資金は,政府予算の枠外に置くため,これまで通り「国家テレビラジオ基金」に収納される。この結果,2009年の事業収入が約4億ユーロだったYLEの運営費は5億ユーロに増加すると見込まれている。また,今後YLE税は小売物価指数と雇用指数に連動して値上げされることになる。

YLE会長は今回の合意について,「政府からの独立性を維持しつつ,長期的な安定財源が確保された」と歓迎している。このほか,公共放送YLEの役割の一部見直しや,新サービス計画について,内部監督機関の事前審査を導入するなど,公共放送の企業統治についての変更も行われる。

中村美子