メディアフォーカス

英ローカルテレビ導入計画が前進

イギリスの放送を所管するジェレミー・ハント文化相は6月2日,政府のローカリズム政策の一環として重要視する新たなローカルテレビの導入計画について,関係者の意見の概要を発表し,2011年7月中に政策を公表する予定であることを明らかにした。

政府が1月に発表した「ローカルメディア行動計画(Local Media Action Plan)」に対し140件の意見が寄せられ,そのうちの3分の1がネットワーク・チャンネルの運営モデルに関心を示したが,その運営に対する意見は1社所有による商業モデルから,非営利や完全にローカル・サービスによって所有されるモデルまで幅広いものだった。今回寄せられた意見や各地でのヒアリングから,政府は当初想定していた全国ネットワークを新設し,個々のローカル・サービスがぶら下がる“トップダウン”型よりも,個別に免許を付与する“ボトムアップ”型のアプローチのほうが,「2012年に最初の免許を交付する」という政府の目標も達成できるなど実現性が高いとみている。

一方,政府内部では地上デジタルテレビ放送を利用する場合,公共サービス放送用の全国ネットの多重周波数帯(マルチプレックス)か,アナログ放送終了後に可能となるローカル・マルチプレックスを選択するかといった周波数問題や経費について検討を進めている。なお,スタート時の費用として2013年度は受信許可料から2,500万ポンドが提供され,2014年度から3年間,毎年最大500万ポンドに相当するローカルコンテンツをBBCが買い上げることが決まっている。

中村美子