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IPサイマルラジオ実用化ラジオ局13社など新会社設立へ

首都圏と関西の民放ラジオ局13社と広告代理店・電通は2010年11月25日,地上ラジオ放送を放送エリアに準じた地域にインターネットで同時配信するIPサイマルラジオの本格運用に向け,新会社「radiko」を12月1日に発足させると発表した。

電子情報技術産業協会の調査によれば,ラジオの出荷台数は09年度まで4年連続で減少しており,民放ラジオ業界は,若年層のラジオ離れと広告収入の減少で,経営的に厳しい立場に置かれている。このため,ラジオ局13社と電通は09年12月に「IPサイマルラジオ協議会」を設立し,パソコンなどでそのままラジオ放送を聴くことができるIPサイマルラジオの実用化試験配信を10年3月15日から開始した。パソコンや高機能携帯電話でラジオを聴けるようにして,若年層のラジオへの関心を高めると同時に,新たな広告モデルを模索するのが狙いであった。

IPサイマルラジオは,エリアを制限しないインターネットラジオサービスとは異なり,地上波のラジオ放送をそのまま各放送局の放送エリアに準じた地域に配信するサービスで,これまでの試験配信で1週間の延べ聴取者数は200万人から300万人に達している。

このため,本格運用に向けて新会社の設立に踏み切ったもので,「radiko」ではインターネット配信で広告媒体の価値を高めるとともに,ネット画面に放送と連動したバナー広告を出すなど広告モデルの拡大を目指しており,ネット広告の収入は,参加局に分配することにしている。

奥田良胤