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珠洲地域でアナログ放送打ち切り全国に先駆け地デジに完全移行

地上波テレビの完全デジタル化まであと1年,移行のモデル地区に指定されている石川県珠洲市と隣接する能登町の一部では2010年7月24日,全国に先駆けてアナログ放送が打ち切られ,地上デジタル放送に完全移行した。

当日現地では,総務省や全国地デジ推進協の関係者,地元の人たちが参加して,「アナログ放送終了カウントダウンセレモニー」が行われ,正午にアナログ放送の停止レバーが押されると,アナログテレビの画面は,いわゆる「砂あらし」状となった。

モデル地区では,デジタル化に備え,市の職員や地元の電器店などが,地区内を細かく回って各世帯の地デジ対応状況を調べ,アドバイスしたほか,希望した約 4,200世帯には無料でチューナーを配付した。さらに,これまでに2回アナログ放送を一時的に停止するリハーサルも行われていたため,テレビが映らなくなったとの苦情も数件しかなく,デジタル移行が無事に行われた。

地上アナログ放送の完全停波は2011年7月24日に予定されているが,総務省とデジタル放送推進協会の10年3月の全国調査ではデジタル対応済世帯は83.8%である。電波の届かない山間地対策や,都市部の共同住宅受信設備のデジタル化,高層ビル等による電波障害対策,低所得者層への無料チューナー配付などの課題が残されているが,珠洲地域で実施したようなきめ細かい対応は全国レベルでは困難と見られ,総務省の目標である11年4月のデジタル普及率100%の実現に向けては一層の努力が必要な事態となっている。

奥田良胤