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EC,仏・西公共放送への政府補助金は合法

EUの行政執行機関であるEC(欧州委員会)は7月20日,広告放送の廃止に伴って,フランス政府とスペイン政府が公共放送に補助金を交付することは,EUの自由競争法に違反しないとの声明を発表した。

これについてECの競争政策委員会のホアキン・アルムニ副委員長は「公共放送の使命が明確に定義され,過剰な補助金が交付されないメカニズムが働く限り,公共放送のコストを国家が補償することはEU法に照らし合わせて合法である」と述べた。

フランスとスペインの両政府は,広告廃止に伴う収入減を補うため,商業放送事業者の広告収入への追加課税と,電気通信事業者への新規課税を予定している。これについて欧州委員会は,「公共放送への補助金の額は,これらの税収の総額によって決まるのではなく,公共放送の運営に必要なコストによって決まるのであるから,電気通信事業者への新税がEUの自由競争法に合法か違法かは関係ない」との見解を新たに示した。ECは今年1月,フランス政府に対して,公共放送の財源不足を補うため,電気通信事業者に新税を課すのはEU法違反の疑いがあり,審理を開始すると伝えていたが,結局違法性はないとの結果になった。

フランスの場合,ECは去年9月,2009年度分として4億5,000万ユーロ(約540億円)のFrance Televisionsに対する政府補助金を認めているが,今回の裁定によって2010年度から2012年度の3か年度で,合わせて15億ユーロ(約 1,650億円)の補助金が交付されるものと見られている。

新田哲郎