メディアフォーカス

香港,政党のラジオ番組“協賛”が論議に

香港の商業電台(Commercial Radio)が,5月1日から深夜の時間帯に放送を始めた番組が,親中派政党の民主建港協進聯盟(民建聯=DAB)の協賛によるものだったことが分かり,民主派から「メディアの編集権の独立を脅かすもの」として反発が起きている。

この番組は『十八仝人愛落區』という,商業電台が深夜2時から朝6時まで放送する番組で,DABが18週分の番組について50万香港ドル(約600万円)あまりの協賛金を負担し,DABのメンバーが地域の問題の解決に努力する様を紹介する内容となっている。

この番組に対し民主派からは,商業電台が編集権の独立に関して政党の干渉を許したとの批判が噴出した。これに対しDAB は,その少し前に民主派の劉慧卿(Emily Lau)立法会議員が3万8,000香港ドル(約46万円)をかけて,立法会議員の補欠選挙への投票を呼びかける短いビデオを商業電台で放送したことに触れ,これこそ政治宣伝だと反論した。

香港では,放送メディアが政党などの広告を放送するにあたっては,事前に放送業務管理局(BA)の許可を得る必要があるとされているが,商業電台のスポークスマンは,DABの番組協賛について,いかなる政治広告も存在しないと強弁,激しい批判を浴びた。

放送番組への協賛に政党や政治家が関わることについて,今回親中派がスポンサーになった段階で初めて問題視されたのは,今後政治広告が公認されれば,資金の豊富な親中派がメディアへの影響力を一層強めると予想されることへの,民主派や市民の懸念を反映したものと言える。

中村美子