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NHK収支予算,2年連続で赤字

NHKは2010年1月13日,10年度の収支予算・事業計画を発表した。

それによると,10年度事業の重点事項として,日本と地球規模の課題に向き合う,放送・通信融合時代の新サービスを行う,地域活性化の拠点の役割を果たす,日本とアジアの情報を世界へ発信する,完全デジタル化に重点的に取組む,受信料公平負担の取組みを強化する,などを挙げている。

収支予算は,事業収入が前年度より87億円増の6,786億円。このうち受信料収入は60億円増の6,550億円で,過去最高を見込んでいる。一方,事業支出は前年度より119億円増の6,847億円で,収支は61億円の赤字となっている。国内放送費や人件費を前年度より抑えているが,デジタル化追加経費が前年度より152億円増の252億円に達し,赤字の要因となっている。NHKの収支予算の赤字編成は09年度の29億円に続き2年連続となった。

NHKは08年10月に3か年経営計画を策定し,12年度から受信料を10%還元することを明らかにしている。しかし,10年度の収入額は,不況の影響で受信料免除世帯が増えるなどしたため,計画策定時の見込みより90億円少なくなっている。

このため,NHK経営委員会は議決にあたり,速やかに効果的な施策を打つべきだとして,NHK全体で増収対策に取組む,競争契約を推進してコストを下げる,組織・人事制度の抜本的な改革を行う,などの意見を付した。

NHKの収支予算・事業計画は総務大臣の意見を付して国会に提出され,審議される。

奥田良胤