メディアフォーカス

韓国憲法裁,強行採決のメディア法は「有効」

韓国の国会では,7月にメディア関連法の改正案が可決された。これについて韓国の特別裁判所に該当する憲法裁判所は10月29日,「手続き上は問題があったものの,可決された法案自体は有効」とする判断を下した。

放送法や新聞法などのメディア関連法案は7月22日,与党ハンナラ党の賛成多数で強行採決により可決された。民主党などの野党が「保守系の現政権寄りの新聞社や大企業によって放送事業が支配される」と反対し,国会が大混乱する中,代理投票や再投票など手続き上の問題を抱えたまま,法案が可決された。これに対して野党議員らが国会議長などを相手に,可決無効を求めて憲法裁に提訴していた。

今回,憲法裁が野党側の訴えを受け入れないとする判決を行ったことについては,大きく2つの理由があった。ひとつは「手続き上の誤りはあったが,実際の可決結果に影響を与えるほどではない」というものであった。憲法第49条に規定された多数決の原則に反する程度ではないとする判断である。もうひとつは「法案を無効とするか否かは憲法裁が直接判断する事案ではない」というものであった。法案の効力の可否は国会が判断することであり,例外的な場合についてのみ憲法裁が直接判断するとの趣旨である。

今回の憲法裁判決について野党側は,手続き上の問題を認めているにもかかわらず,多数決によって行われた可決については国会に任せるという趣旨の政治的な判断を行った,として非難を強めている。

田中則広