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地上デジタル日本方式 南米での採用拡大

総務省は2009年10月7日,南米のベネズエラ政府が地上デジタル放送方式の規格として日本方式(ISDB-T方式)を採用決定し,日本政府との間で覚書が調印されたと発表した。

南米諸国で日本方式が採用されたのは,ブラジル,ペルー,アルゼンチン,チリに続き5か国となった。ブラジルでは,07年12月から放送が開始されている。

地上デジタルテレビの伝送方式には,NHKが発明・開発した日本方式のほかにアメリカのATSCとヨーロッパのDVB-Tがあるが,アメリカとヨーロッパは,いずれも家庭向けに放送する固定受信用の方式である。

これに対してISDB-T方式は,家庭向けにハイビジョン番組を,携帯端末向けにはワンセグサービスを1つのTVチャンネルで同時に伝送できる。干渉に強く,車内や山間部でも受信状態は良好で,携帯端末でも安定的な受信ができるという。

日本では,ISDB-T方式による地上デジタル放送が2003年12月にスタートし,視聴可能世帯数も09年3月末で,全世帯の約97%にまで拡大している。

アメリカ方式,ヨーロッパ方式,日本方式が採用国の拡大をめざして競っており,ヨーロッパ方式を採用している国が多い。

総務省は,ベネズエラでの円滑な導入に向けて,技術委員会を設置し,技術協力,人材育成等の支援をすることにしており,アフターサービスを強調しながら,今後,日本方式を採用した各国と連携して,南米の未採用国への普及に努めることにしている。

奥田良胤