メディアフォーカス

09年上半期,米ネット広告も減少

去年秋のリーマンショック以降の不況の影響が,これまで好調を維持してきたインターネット広告にも暗い影を落としている。

アメリカの広告市場は去年秋以降,不況の影響が深刻化している。今年9月にニールセン社が発表した09年上半期のデータによると,メディア業種別では,全国紙が対前年比22.8%減,地方紙が同13.2%減,業界誌31.8%減のように,特に活字媒体を中心に大きく落ち込んでいる。出稿業界別では,自動車産業が前年比31.4%減のほか,製薬業界11.3%減,デパート4.4%減などとなっている。

そうしたなか,これまで好調を持続し急成長を遂げてきたインターネット広告も前年比減となったことが話題を呼んでいる。米インターネット広告協会(IAB/Internet Advertising Bureau)の10月5日の発表によると,2009年上半期のネット広告費は109億ドル(約9, 920億円)で,前年同期比5.3%の大幅減であった。ネット広告費が前年比減となったのはITバブル崩壊時の02年以来のことである。分野別では,ネット広告で最も高い割合を占める検索連動広告が2%増など微増にとどまり,バナー広告や案内広告がマイナスとなっている。一方,若者層を中心に急速な普及が続いているネット動画への挿入型広告のように,全体に占める割合は4%と小さいものの,前年比38%増という大幅な増加となっている分野もある。

2010年も引き続き米広告市場の縮小傾向は止まらないだろうという予測もあるなか,ネット広告が新聞やテレビなど既存メディアと異なって悪影響を最小限に食い止められるのか,今後の動向が注目される。

米倉 律