2008年11月12日に開催された「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」の席上，厚生労働行政へのマスコミの批判に議論が及んだ際に，同懇談会の座長をつとめる前の経団連会長・奥田碩氏（トヨタ自動車取締役相談役）が，一部のテレビ出演者のコメントに関して，概要以下のような発言をした。

「個人的意見を言うと本当に腹が立っている。厚労省だけあれだけたたかれるというのはちょっと異常な話なので，何か報復でもしてやりたい。たとえばスポンサーを降りるとか。ああいう番組のスポンサーは，大きな会社じゃない。いわゆる地方の中小というのが，流れとしてはある。大きなこと言うのはいいけれど，小さなことをひとつずつ取り上げて批判するのはどうか」

“それを言ってはいけない”，“スポンサーを降りるというのは言い過ぎだ”，との他の委員の発言に対して，「現実にそれは起こっている。テレビ局は広告取りに走り回っている。おかしいと言っても，マスコミでは編集権は独立したものであって，上の方は編集権には介入できないから何もできないと言う」

この発言に関して，民放連会長の広瀬道貞氏は08年11月20日の記者会見で記者からの質問に次のように答えたと，東京新聞が11月21日の朝刊で「民放連会長，反論せず」との見出しで報じた。

「『私自身も思うが，出演者の中には感情にだけ訴える過激な発言もある。テレビの影響力の大きさから言えば，ある種の節度が必要』と述べた」