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日本版フェアユース規定の導入 知財戦略本部が報告書案で提案

政府の知的財産戦略本部(本部長・麻生太郎首相)のデジタル・ネット時代における知財制度専門調査会が2008年10月29日,知財制度の在り方について報告書案を公表した。

同案によれば,コンテンツの流通促進策としては,権利団体が主導して権利の集中管理を進め,権利処理がしやすいようにすること等が必要であり,放送事業者には,制作段階でその後の利用も含めた契約を求めている。

放送番組,映画等のネット上の利用は,事業者・制作者のみが許諾権を行使できる特別法を制定すべきだとしている。

技術の進歩や新ビジネスモデルの出現に柔軟に対応できる法制度とするため,権利者の利益を不当に害しない公正な利用であれば,権利者の許諾を必要とせずに著作物を利用できるよう「権利制限の一般規定」(日本版フェアユース規定)を導入することが適当である。ネット上に流通する違法コンテンツ対策は,不正競争防止法による規制強化や著作権法でアクセス・コントロールの回避行為を禁止する等被害防止措置が必要だとしている。

プロバイダ責任については,業者の自主的な取組みとあわせ,動画投稿サイト運営者等特定のプロバイダには著作権侵害防止措置の導入を義務づけ,同措置を導入している業者には損害賠償請求等を受けない免責規定が必要である。番組の録画・転送については,著作権法上で間接侵害規定の検討を行い,差し止め請求の範囲の明確化が必要だとしている。

今後,同案をベースに文化庁を中心に関連法の改正論議が行われる。

奥田良胤