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米連邦高裁,CBSへの罰金を取り消す判決J.ジャクソンの胸露出問題で

2004年にCBSが生放送したスーパーボールのハーフタイムショーで人気歌手のジャネット・ジャクソンの胸が露出した問題で,フィラデルフィアの連邦高等裁判所は7月21日,FCC(連邦通信委員会)がCBSに命じた55万ドル(約5,940万円)の罰金について,支払い命令を取り消す判決を下した。

判決では,FCCには裸が放送された場合の取り扱いについての方針を変更できる権限があるが,その場合には事前に放送事業者に伝える必要があり,今回はそれを行っておらず罰金は不公平だと述べた。また,「ハーフタイムショーという限定された目的で雇われた,独立した立場の契約者」であるジャクソンのすべての行為に,CBSが責任を負うことはできないとしている。

これについてCBSは,「満足できる判決内容だ。最大限の努力をしても生中継では不測の事態が起きることが認められ,放送界にとって重要な判断だ」という声明を発表した。一方,FCC のケビン・マーチン委員長は,「判決に驚き,失望している。FCCの決定は,5人の委員全員が一致したものだった」と語った。連邦最高裁に上告するかどうかについては触れていないが,上告するとの見方が強い。

この問題をめぐっては,子供を含めて大勢の人が番組を見ていたため,放送後に50万件を超える記録的な数の苦情が寄せられたとして,FCCが「下品な(indecent)番組」に対する規制を強めるきっかけとなり,議会も罰金の額を10倍に引き上げるなどの対応をとった。

柴田 厚