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映画「靖国」上映中止 民放連,新聞協会が憂慮を表明

靖国神社をテーマにしたドキュメンタリー映画『靖国YASUKUNI』の一般映画館での上映が相次いで中止になった問題で,日本民間放送連盟と日本新聞協会が事態を憂慮する見解を公表した。

この映画をめぐっては,文化庁所管法人「日本芸術文化振興会」から助成金がでていたことから,自民党の衆議院議員らが問題提起を行い,2008年3月12日に異例の国会議員への試写会が開催された。

ところが,この経過が報道された結果,右翼団体などの上映妨害を恐れた映画館5館が3月末までに上映中止を決める騒ぎとなった。

民放連は4月3日,報道委員会委員長名で「ドキュメンタリー映画『靖国YASUKUNI』の上映が相次いで中止に向かっていることは,極めて深刻で,憂慮すべき事態と言わざるをえない。言論・表現にかかわる創作物を個々人が享受し,論評・判断する機会が奪われることがあってはならず,健全な民主主義の実現に逆行する。われわれは,言論・表現の一翼を担う者として,こうした事態に強い懸念を表明する」とのコメントを発表した。

日本新聞協会も4月3日,編集委員会代表幹事名で「映画の内容をどう評価するかは個々人の問題であるが,その評価,判断の機会が奪われてしまうことは,表現・言論の自由を擁護する立場から看過できない。表現活動が萎縮する社会にしてはならないと考える」との談話を発表した。

「靖国」については,その後映画館での上映や自主上映の動きが広がった。

奥田良胤