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英Ofcom,第2回PSBレビューの中間報告を発表

イギリスの放送・通信分野の規制監督機関Ofcom(Office of Communications)は4月10日,第2回公共サービス放送(PSB:Public Service Broadcasting)レビューの中間報告「デジタルのチャンス」(PSB Review Phase 1:The Digital Opportunity)を発表した。

Ofcomは,2003年放送通信法によって5年ごとにPSBレビューを行い,政府に対し放送通信行政の政策提言を行うことを義務づけられている。 2005年2月に終了した第1回のレビューでは,BBCを含めたイギリスにおけるPSBの目的と特徴を定義し,BBCの新特許状における公共的目的の定義をめぐる議論に貢献している。今回のレビューは,商業財源による伝統的なPSB事業者(ITV,チャンネル4,Five)がインターネットの興隆が象徴するメディア環境の激変のなかで,2012年に予定されているデジタル完全移行後も現行の制度的取り決めのまま維持できるのか,という問題意識から出発している。とりわけ,Ofcomは,広告収入をめぐる競争のなかで,ITVが担う地方・ローカル・コミュニティレベルの情報発信力の低下や“革新的,実験的で卓越した”特徴を持つことを義務づけられるチャンネル4の財政不安など,解決すべき課題を明らかにし,新たなPSBモデルを模索している。

Ofcomは,中間報告で提起した問題に対して意見募集を6月19日まで行っている。BBCは,これに対し「クリエイティブ産業講演シリーズ」を開催し,広く議論を汲み取ったうえ,BBC自身の意見をまとめるとしている。

中村美子