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米国デジタル完全移行まで1年足らずPBSなどが周知活動を強化

アメリカでは2009年2月17日に,地上アナログ放送が終了しデジタルに完全移行するが,スムーズに移行を進めるため,民間レベルで取り組みが行われる一方で,公共放送PBSも3月から周知活動に力を入れている。

地上放送をアンテナのみで受信している世帯が来年2月以降もテレビを見るためには,ケーブルや衛星と契約するか,デジタル変換コンバーターを設置する必要があるが,全米で2,100万以上といわれる対象世帯に対して,周知が充分に行われていないという批判がある。こうした声に対応しようと,米国ボーイスカウト連盟は高齢者対象の説明会などの支援をするほか,社会的弱者への配食サービスを行う非営利組織,ミールズ・オン・ホイールズ協会では,食事を配達する際にデジタル化に関する説明をあわせて行うことにしている。さらに,買い物のレシートの裏に必要な情報を印刷したり,郵便局にポスターを張ったりするなどデジタル移行周知のための民間レベルでの様々な取り組みが行われている。

公共放送PBSでは,商業放送に比べて,アンテナのみで受信する視聴者の割合が高く,移民や低所得者世帯,高齢者が多く含まれていることから,今月から周知キャンペーンを開始した。第一弾として,PBSの番組でおなじみの司会者が,デジタル移行の必要性についてわかりやすく説明するスポットを開始している。さらに10月からは,移行に必要な具体的な方法や手続きについて放送することにしている。ポーラ・カーガーCEOは「PBSは最も信頼できる公共機関と評価されているので,スムーズな移行に貢献したい」と話している。

柴田 厚