国内放送事情

北京オリンピックはどう見られたか

~先進的視聴者のメディア接触状況~

今年8月に開催された「北京オリンピック」は、国民の大きな期待と関心を集めた17日間であった。また同時にこの一大イベントは、日本の放送・通信業界にとって喫緊の課題である“デジタル化”を国民にアピールする絶好の機会ともなった。

デジタル放送、データ放送、ワンセグ放送、デジタル録画機、そしてインターネットの動画配信など、それぞれのメディアは競ってオリンピック情報を国民に提供したのである。

今回の調査で注目したのは、“完全デジタル時代”の到来を前に既に様々なツールを揃えて、情報を入手・利用している人たち  ――“先進的視聴者”が今回の「北京オリンピック」にどうアクセスし、各メディアの情報をどう使い分けたかである。

調査方法は、利用実態を速やかに把握できる「インターネット調査」を採用した。

あらかじめ用意した質問・アンケートを、大会終盤(15日目と最終日)の当日にインターネットを利用して配信。それぞれ800人(20歳代以下、30歳代、40歳代、50歳代以上の4層から男女各100人、両日の回答者は同一ではない)にその日の視聴が終わったところでアンケートに記入してもらい、折り返しインターネットで送信してもらったのである。

果たして“先進的視聴者”はどのようなメディアで今回のオリンピックに接触し、「北京」に声援を送り続けたのか。

それぞれのメディアへの接触状況を分析すると共に、来る“完全デジタル時代”に向けたキラーコンテンツの放送戦略、各メディアの情報提供のあり方を考察する。

メディア研究部(メディア動向)荒川 信治