国内放送事情

「日本人とメディア」総合調査研究報告②

「総合情報端末」化する携帯電話

~「携帯電話利用動向」アンケート調査(2006年11月)の結果から~

1990年代後半から急速に普及を拡大した携帯電話は、現在、契約件数は9576万に達し、PHS(491万)をあわせると1億件を越えている(07年2月現在)。数字上はほぼ「1人1台時代」となった携帯電話は、多機能化・高機能化が進み、今や人々が日常生活を送るうえで必要不可欠な「総合情報端末」となっている。

本稿では、携帯電話の利用状況・利用意向について、携帯電話を端末として利用するネットアンケート調査(06年11月実施)の結果から分析・報告する。調査対象は携帯ネット利用者800人で、注目したのは、携帯電話によるネット利用の動向、通話やメール等によるコミュニケーションの様態、およびワンセグを始めとした動画の利用動向・利用意向である。

分析の結果、幾つかの点が明らかになったが、特に以下の二点が注目される。

  1. 人々は携帯電話を極めて多様に利用しているが、その実態は単に多様であるだけでなく、利用者の属性や携帯電話の特性等に応じて、利用の仕方や利用する機能が複雑に分化・多層化している。
  2. これまでパソコン利用との間で注目されていたテレビ視聴との並行行動に携帯電話の利用も加わって、携帯電話、パソコン、テレビが互いに密接な連関を形成しながら人々の情報行動、情報空間を作り出している。

今後も急速な進化が予想される携帯電話が、人々のコミュニケーション行動やテレビ視聴行動に何をもたらすのか、また相互にどのような影響を与えるのか、継続的な調査を通じて把握していく必要がある。

「日本人とメディア」総合調査研究プロジェクト
主任研究員 鈴木祐司/専任研究員 米倉律/専任研究員 中野佐知子/研究員 西村規子