2013年 春の研究発表とシンポジウム
3.11 震災アーカイブ活用の可能性
~防災・減災,復興にいかすために~
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このシンポジウムは、東日本大震災から2年となる2012年3月にNHK放送文化研究所が開催した。大震災の映像や記録を後世に伝えていくために、NHKをはじめ、大学、被災自治体など様々な機関が震災関連のデジタルアーカイブを構築してきたが、その膨大なアーカイブを将来の防災・減災、そして復興にどう活用できるのか、また、長期的に有効活用していくためには何が必要なのかを、防災とアーカイブ研究者、宮城県気仙沼市の職員、NHKのアーカイブ責任者が議論した。
アーカイブはあくまで素材でしかなく、防災・減災に生かすためには、映像や写真に地域の実情に合わせた意味づけを行う必要があることが確認され、防災専門家に加えて、地域の人たちの参加が不可欠であるとの認識が共有された。
さらに、復興におけるアーカイブ活用については、震災前の映像を被災者に見てもらう実験的なワークショップが紹介された。復興過程を記録し続けることの重要性も指摘され、アーカイブは過去の記録だけでなく、現在進行形の作業であることが確認された。
最後に、自然災害、リスクの中で生きる力を強化するためにアーカイブを活用してほしいなど、震災の教訓を世代を超えて引き継ぐためにも、アーカイブの積極的な活用を期待しつつ、シンポジウムを締めくくった。