番組研究

多様化進む教室のメディア環境と教育コンテンツ

~2012年度NHK学校放送利用状況調査から~

「NHK学校放送利用状況調査」は,NHK放送文化研究所が1950年から定期的に実施してきた調査(現在は隔年で実施)である。全国の学校現場におけるメディア環境の現状を把握するとともに,放送・ウェブ・イベントなどNHKの教育サービス利用の全体像を調べ,今後の教育サービスを検討する際の基本資料としている。

本稿では,完全地デジ化後初の調査として,2012年度に全国の小学校・中学校・高等学校を対象に実施した調査の結果分析を行い,デジタル化された教室におけるメディア利用と学習との関わりについて考える。

どの校種でも,デジタル化が著しく進展し,地デジを視聴できる学校の割合は9割を超えた。NHKの学校放送・デジタル教材を利用している学校の割合は,2010年度の前回実施調査と同水準だったがその中では,とりわけ,インターネットを介したサービスである「NHKデジタル教材」の利用の増加が顕著であった。この他,現在社会的に注目を集めている「指導者用電子教科書(デジタル教科書)」が学校に普及しつつある状況や、新しいメディアに対する関心の高まりがうかがえた。学校現場のデジタル化が進む中で,NHKには,豊富な映像素材を活用した放送番組や教育コンテンツの開発と提供が求められている。

メディア研究部 渡辺誓司、小平さち子