番組研究

ブログの世界と“テレビブロガー”(上)

~2007年11月 ウェブ調査の結果より~

急速に利用者数を伸ばしているブログ。自らブログを開設する「ブロガー」は1000万人以上、また閲覧するだけの者も加えれば、年間3500万人以上がブログに接触しているとも言われる。このように一般の人々から「情報」、特にテレビに関する「意見」や「評判」が発信され広範に流通するという事態はかつてないものである。このことは視聴者の間に、新しいテレビ視聴行動やメディア観を生んでいる可能性をはらんでいる。

本稿は上記の問題意識から実施した「ブログを書く人、読む人に関するウェブ調査」の結果を概観したものである。調査によると、ブログを開設しているブロガーはインターネットユーザーのうち20%、また閲覧のみしている人が36%で、両者を合わせると5割を超えていた。またブログ利用者は若年層ほど多いが、中高年層にも確実に浸透しつつあることが明らかになった。さらにブログでは無名の個人が書く情報が最も多く読み書きされており、書き手はブログを「簡便」な「備忘録代わり」であると同時に、「自分のことを知ってもらえる」情報発信力のあるメディアとして高く評価していることがわかった。

テレビ番組のことをブログに書く「テレビブロガー」については、女性の割合が高く、最も多く書かれるジャンルはドラマであり、内容としては番組への意見や感想といった「評判」に関するものが多かった。また、ブロガーのテレビ視聴時間が短い傾向にある反面、テレビブロガーについては依然テレビ視聴時間は長く、またテレビに関する記事を読んで番組接触行動をとる率が高いこともわかった。

調査結果は、これまで「口コミ」と称され「うわさ」レベルでのみ語られていた「評判」という情報が、ブログというツールを得ることで顕在化し、増幅されて広がっていくというメディア環境が急速に国民の間に浸透していることを物語っている。ブログ人口の拡大傾向が続くと予想される中、彼らの動向はテレビ制作者にとって、決して過小評価すべきでないと思われる。

メディア研究部(番組研究) 谷 正名