番組研究

<インタビュー企画> 地域発・人気番組はこうして育てる

第3回 「カタチだけの地域密着はもういらない」

北海道テレビ放送 藤村忠寿氏

ここ数年、地域放送番組への視聴者の評価が大きく変わり、注目度が年々高まってきている。制作された放送局のエリアだけで視聴されてきた地域放送番組は、今やインターネットを始めとする様々なメディアの登場により、東京キー局の番組には飽き足らない全国の視聴者の目にもとまるようになった。そうした目の肥えた視聴者の心を捉えたのが、1980年以降、地方局がエリアでの生き残りをかけて育成に取り組んできた自主制作番組である。一地方局が制作した番組が様々なメディアを通して、エリアを越えて視聴され、莫大な予算をかけたキー局の番組を人気と視聴率で追い抜くという逆転現象が各地で起きている。インタビュー企画では、地方局が本気で育成に取り組み、視聴者の共感を得てきた各地の人気番組のキーマンに話を聞くことで、今後の地域放送番組の可能性を考える上での道標とすると同時に、大きく変わろうとしている地域放送に何が起きているのかを探る。

第三回目は、北海道テレビ放送のチーフディレクター・藤村忠寿氏。1996年に、藤村氏と同僚の嬉野雅通氏によって開発された「水曜どうでしょう」は、今や新時代の地域放送番組の代表的存在として語られることが多い。当時としては珍しかったデジタルビデオカメラによる機動的なロケや、ローカル局の「金なし、人なし、時間なし」というハンディを逆手にとった斬新な演出が視聴者に支持され、口コミで番組人気は全国に広がった。今や全国で最も知られる地域放送番組を10年に渡って支え続ける藤村氏に、番組を作る上でのスタンスや、視聴者との関係性などについて話を聞く。

専任研究員 菅中雄一郎