番組研究

<インタビュー企画> 地域発・人気番組はこうして育てる

第1回 目指すのは福岡の街と一緒に呼吸する番組

~九州朝日放送 清水透氏/坂井剛氏~

ここ数年、地域放送番組への視聴者の評価が大きく変わり、注目度が年々高まってきている。制作された放送局のエリアだけで視聴されてきた地域放送番組は、今やインターネットを始めとする様々なメディアの登場により、東京キー局の番組には飽き足らない全国の視聴者の目にもとまるようになった。そうした目の肥えた視聴者の心を捉えたのが、1980年以降、地方局がエリアでの生き残りをかけて育成に取り組んできた自主制作番組である。一地方局が制作した番組が様々なメディアを通して、エリアを越えて視聴され、莫大な予算をかけたキー局の番組を人気と視聴率で追い抜くという逆転現象が各地で起きている。本インタビュー企画では、地方局が本気で育成に取り組み、視聴者の共感を得てきた各地の人気番組のキーマンに話を聞くことで、今後の地域放送番組の可能性を考える上での道標とすると同時に、大きく変わろうとしている地域放送に何が起きているのかを探る。

第1回は、九州朝日放送の編成局次長・清水透氏と、報道制作局担当部長の坂井剛氏。1989年に清水氏らによって企画された若者向け情報バラエティ番組「ドォーモ」は、当時ローカルでは不毛と呼ばれた深夜時間帯に、福岡の若者文化を創造・発信する番組として誕生した。今回の企画で「ドォーモ」に注目した点は、放送開始から18年たった今も新しいファン層を開拓し続けていること、そして情報バラエティ番組の枠には囚われない意欲的な企画を発信し続けていることである。番組の大きな節目に作り手として立ち会ってきた清水氏、坂井氏のお二人に、18年にわたって求心力を保ち続けている番組を作る上での取り組みや、時代ごとに移り変わる若い視聴者とどのように向き合ってきたか等について話を聞く。

専任研究員 菅中雄一郎