APAC Trusted Media Summit 2023が,2023年12月にシンガポールで開催された。アジア太平洋地域の32の国と地域から約680人が参加し,誤情報・偽情報に対する課題や知見を共有した。2024年は世界各地で指導者を選ぶ「選挙イヤー」と位置づけられる中,参加者は,生成AIによって制作された音声や映像を使って,「ディープフェイク」と呼ばれる偽情報への危機感・警戒感を高め,ファクトチェックによって民主主義の根幹である選挙を健全に進めていくという意識を再確認した。そのために有効な手法が,ほかの組織との連携であることも強調されていた。一方で,ファクトチェック団体の財政状況は厳しく,いかにして維持していくかという問題意識も分かち合っていた。さらに若者を対象にしたメディア・リテラシーを向上させる活動にも参加者から注目が集まっていた。
メディア研究部 塩﨑隆敏
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