調査報告

ジャーナリストたちの現場から Vol.1

公開:2023年12月1日

本稿は、2022年4月から放送文化研究所のホームページで連載している論考「調査報告 ジャーナリストたちの現場から」の3回分に一部加筆・修正を加えて再録したものです。
連載は、いわゆる“オールドメディア”とされるテレビや新聞を中心としたジャーナリズムに向けられる読者・視聴者、受け手側の不信を意識したうえで、それに現場のジャーナリストたちがどのように向き合っているかを記録しています。
メディア環境は著しい変化の渦中にあります。環境の変化によって、これまでマスメディアが担ってきたジャーナリズムの在り方も大きな変革を迫られています。
一方で、健全な民主主義を支えるためには、ジャーナリズムは変わらなければならない部分と変わってはいけない部分があると感じています。
取材者や組織は、変わるべき部分をどう変革し、守るべき部分をどう維持するのか。そのことを丁寧に説明せずに放置すれば、人々のジャーナリズムに対する理解はますますおぼつかなくなり、信頼も加速度的に低下するでしょう。
そこで、私たちはニュースや番組の取材制作の現場に目を向け、ジャーナリズムの現在形を具体的に探ることにしました。
連載では、ニュースの送り手に対して、自らの実践をめぐる意識について聞き取りを中心に調査しました。聞き取りでは、取材制作に関する動機や着眼点、手法の工夫、それに問題意識を把握することにこだわりました。それらが現在のメディア環境の中でどのような意義や課題を示しているか、私たちなりに考察しました。
課題も含めて現在形を伝えることで、ジャーナリズムに対する人々の理解を図り、信頼をつなぎとめることに微力ながら役立てたらと思っています。
今回、再録する3回分は、NHKの地域放送局が手がけてきた実践例です。取り上げたのは記者やディレクターのみでしたが、今後はより広い意味でのニュースや番組の関係者に対して調査を行うことにしています。そしてNHK以外のメディアの取り組みにも目を向けたいと考えています。

メディア研究部 東山浩太/NHK放送文化研究所 渡辺健策

【あわせて読みたい】

自己批判は報道への信頼をつなぎとめるか-NHK

未知の環境リスクの「見える化」に挑む-NHK

※NHKサイトを離れます

全文を見る PDF(4,836KB)

英文サマリー