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住まいの再建に向けて 「り災証明書」・公的支援制度

2024年4月19日

もし被災してしまったら、生活を再建する上で、住宅が被災した人たちは、これから住む場所についてさまざまな選択を考えなければなりません。「り災証明書」などの公的支援制度や必要な手続きについて紹介します。

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もし被災してしまったら、生活を再建する上で、住宅が被災した人たちは、これから住む場所についてさまざまな選択を考えなければなりません。
兵庫県立大学大学院 減災復興政策研究科教授の阪本真由美さんは、“住まいの再建”の選択肢について説明します。

「仮設住宅に入居する方もいれば、自宅を修理して戻りたい方もいる。壊れた自宅を取り壊して再建される方、あるいは再建はやめて賃貸住宅に移る方などもいます。ただ、ひとりずつ状況は違うので、その人に合った選択をしていかなければいけない。なかなか決められない方もいます」(阪本さん)

住宅を修理して住む、住宅を建設・購入する、賃貸住宅に引っ越す、公営住宅に引っ越す、介護施設に入居する、自宅に戻る、仮設住宅・公営住宅に一時入居(数か月~2年程度)


「り災証明書」の申請手続き

被災者が住宅の再建、また公営住宅に住むための重要な手続きについて紹介します。

り災証明書」は、住宅などの被害の程度を証明するもの。さまざまな公的支援を受ける際に役立つ重要な書類です。
住んでいる自治体の窓口で、書類を1枚書くことで申請できます。
住所、り災した原因、家族の構成、住家の被害程度などの項目を記入します。

申請 お住いの自治体の窓口


被害状況の写真を撮る際のポイント

「り災証明書」の申請の際、スマホなどで被害状況の写真を撮っておくと、スムーズに発行される場合があります。

撮影のポイントは3つあります。
① 自宅の外から4方向、東西南北から撮影。

4方向(東西南北)から撮影

② 水害の場合は、どこまで浸水したかわかるように、目盛りをつけるか、人を立たせるなどして、屋外と屋内を撮影。

どこまで浸水したかわかるように撮影

③ エアコンの室外機など、屋外の設備の被害状況も撮影しましょう。

設備などの被害も撮影


「り災証明書」で重要な住家の被害程度の判定

自治体の窓口に申請した後は、自治体の職員が1棟1戸ごとの被害状況を調査して、被害の程度を判定し、「り災証明書」が発行されます。

「り災証明書」記載例

り災証明書の中でも最も大切なのは「住家の被害の程度」。被害状況に応じて、判定がなされます。
この判定が、支援金の額などに大きく関わってきます。

災害の被害認定基準(内閣府)
災害の被害認定基準(内閣府)

証明内容に異論がある場合は、さらなる調査も依頼できます。

証明内容に異議がある場合、2次調査なども可


受けられる支援制度

どんな支援が受けられるのか、大切な9つの支援制度をまとめました。

応急修理制度、応急仮設住宅、災害援護資金貸し付け、基礎支援金、公費解体制度、被災ローン減免制度、加算支援金、災害復興住宅融資、雑損控除

この中で多くの人が関わる可能性があるのが「基礎支援金」です。
「全壊」になった世帯については100万円、「大規模半壊」は50万円ですが、半壊以下の方は基礎支援金がありません。

損害割合と支援金

ほかの支援制度には次のようなものがあります。

・応急修理制度
「災害直後でも、修理したら自宅に戻れる人に、修理のための費用が出ます」(阪本さん)

・応急仮設住宅
「自宅を修理しても居住が難しく、仮設住宅に入居する場合も、『り災証明』を基準として考えます」(阪本さん)

・公費解体制度
「自宅を解体したい場合、行政が所有者に代わって解体する仕組みです。公費解体も半壊以上の住宅が対象となります」(阪本さん)

・加算支援金
「自宅を再建する場合に支給されます」(阪本さん)

・復興公営住宅の提供
「復興公営住宅に移る場合も、り災証明書の判定が関わってきます」(阪本さん)

■まずは「り災届出証明書」を

過去の災害では、被災者がこうした制度を知らなかったために支援を受けられなかった事例が多くあります。
被災地の中には、広域避難していても、避難先の自治体で「り災証明」の申請手続きができるところもあります。生活再建に係る負担を少しでも減らすために、制度を活用してください。

ことし1月に起きた能登半島地震でも、たいへん多くの被災者が、り災証明を申請していますが、発行・交付に時間がかかっています。調査や交付の手続きに、自治体の人手が足りていないのが現状です。

り災証明を申請する際に、一緒に「り災届出証明書」を出して、当面はその書類を使って、応急仮設住宅への入居など他の手続きを進めることができます。
「り災届出証明書」は、被害の届出があったことを証明するもので、即日発行されます。

■能登半島地震での支援

今回の能登半島地震では、石川県内の6つの市と町(七尾市・輪島市・珠洲市・志賀町・穴水町・能登町)で、半壊以上の被害を受けた高齢者がいる世帯などを対象に、最大300万円の給付金を支給する制度を創設しています。

さらに石川県は、自宅が全半壊した子育て世帯などを対象に、新たに住宅を購入した場合のローンの利子分に対して、最大で300万円を助成すると発表しています。

詳しい内容は、各自治体の情報を確認してください。

【参考】石川県ホームページ
令和6年(2024年)能登半島地震に係る石川県地域福祉推進支援臨時特例給付金について
【令和6年能登半島地震】自宅再建利子助成事業給付金について
※NHKサイトを離れます

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この記事は、明日をまもるナビ「能登半島地震 生活再建に向けて」(2024年4月21日 NHK総合テレビ放送)の内容をもとに制作しています。

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