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車を運転中に大地震が起きたら?

2024年1月25日

車を運転中に大地震に遭遇したら、どう行動すればいいのか。その対処法です。

多くの車が行きかう首都圏。ここで首都直下地震が起きたら、どんな状況になるのか?

道路やビル群の空撮

国の想定では、主に1981(昭和56)年以前の耐震基準で建てられた老朽化した建物が倒壊し、道路を寸断します。

老朽化した建物が倒壊

電柱が倒れ、看板が落下。がれきが道を塞ぎ、液状化によって通行できない区間が数多く発生するというのです。

がれきや液状化で交通マヒ

■運転中に地震があったら

もしあなたが車を運転していたら、どう行動すればいいのでしょうか?

一般道の場合

運転中に地震があったら

①左側に寄せて停車

国のガイドラインによれば、まず車を道路の左側に寄せて、停車させます。

左側に寄せて停車

②ラジオやスマホなどで情報収集

そして、カーラジオで地震の状況を把握。その情報や周囲の状況に応じ、待機するか、外に避難するかを判断してください。

ラジオやスマホなどで情報収集

③キーと連絡先を残し、車検証を持って避難

外に避難する場合は、車にキーを付けたまま、自分の連絡先を車内に置きます。そして、「車検証」を持ち、ドアをロックしない状態で車を置いて避難します。

キーと連絡先を残し、車検証を持って避難

「車検証」は、所有確認ができるだけでなく、さまざまな手続きをする際に必要となります。

高速道路の場合

①急ブレーキをかけるのは危険

一方、高速道路では地震が起きても、急ブレーキをかけることは非常に危険です。

急ブレーキをかけるのは危険

②ハザードランプを点灯させ、ゆっくり左側に停車

ハザードランプを付けながら、緩やかに速度を落とし、道路の左側に車を寄せて止めます。

ハザードランプを点灯させ、ゆっくり左側に停車

③巡回するパトロールカーの指示に従う

首都高では道路の安全確認にかかるのは3時間ほどといわれています。その間、ドライバーは車内で待機し、ラジオで状況を把握。その後、巡回してくるパトロールカーの指示に従ってください。


一般道でも高速でも左側に停車させる」。実はそれこそが私たちの命を救うのに必要不可欠な行動なのです。

「災害時は人命の救助が最優先。車1台だけでも残っていると、緊急自動車の通行が滞ってしまって、救助活動が遅れてしまう恐れがあります。“緊急自動車の通行の車線を空けること”をしっかりと認識していただきたい」(総務省消防庁・震災対策専門官 櫻井志男さん)


地震が起きた後の車について、よくある疑問をまとめました。

Q.いつ車を取りに行けるの?

A.「避難指示や通行規制などが解除されて、道路や周辺の安全が確認できたら」(櫻井さん)

車が移動されていた場合は、移動が可能なタイミングで、消防や警察から連絡が来ます。そのためにも車には電話番号など連絡先を残してください。

Q.高速道路でのトイレ問題は?

A. 「安全点検に3時間かかる見込み。パトロールカーが来るまではさらに時間がかかるので、携帯トイレを常備してください」(櫻井さん)

高速道路では安全が確認されるまで車内にとどまることが推奨されています。
「携帯トイレは私もバッグに入れています。コンパクトな持ち運び可能なものもあるし、100円ショップでも売っているのでぜひご準備ください」(塚原愛アナウンサー)

Q.バイクの場合どうすれば?

A.「バイクは車と同じです。一般道では左側に寄せて停車。キーを付けて連絡先を残して立ち去ってください」(櫻井さん)

とはいえ、車やバイクを置いてその場から逃げることに抵抗がある人は多いかもしれません。

東京大学先端科学技術研究センター教授の廣井悠さんが示したのは、東日本大震災が起きてから1時間後の都心部の交通渋滞を表したもの。赤い太いラインは、1時間に3キロ未満の“超ノロノロ渋滞”が起きたところです。

東日本大震災時の車道状況(再現)
東日本大震災時の車道状況(再現)

東日本大震災での東京は震度5強でした。もし震度6強や7が想定されている首都直下地震で一斉帰宅した場合どうなるかを表したシミュレーション(道路の破断なし、交通規制なし)を見ると、 “超ノロノロ渋滞”を表す赤いラインが増えています。

首都直下地震等 大規模災害時の車道状況(一斉帰宅した場合)
首都直下地震等 大規模災害時の車道状況(一斉帰宅した場合)

こうなると消防車も救急車も動けなくなります。そうならないために、廣井さんは「道路の“負担”を減らす」ことが鍵だといいます。

「緊急車両を通れる状態にするには、災害時は”道路の負担”を減らすこと。そして道路の容量をきちんと確保すること。それが命を助け、火災を消し、みんなの命を救うことにつながります」(東京大学先端科学技術研究センター教授 廣井悠さん)

この記事は、明日をまもるナビ「首都直下地震 その時あなたはどこに?(3)外出先で被災」(2023年9月17日 NHK総合テレビ放送)の内容をもとに制作しています。

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