実践例
1高齢者施設のレクリエーションなどでの利用
特別養護老人ホーム高浜安立(あんりゅう)荘愛知県高浜市
古い道具や生活用品など“昭和の生活感”を活かした回想法に取り組んでいる老人ホーム「高浜安立(あんりゅう)荘」で、日本福祉大学・来島修志先生に模範的な回想法の実践を行っていただきました。なつかしいラジオ・テレビ番組にまつわる体験談が活発に交わされ、「君の名は」の一節を口ずさむ方、「真知子巻き」と呼ばれたストールの巻き方を身振り手振りで伝えられる方がいました。
※このサイトの「施設で利用」でご覧いただけます。
小山市介護家族の会オレンジカフェ栃木県小山市
厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の一環として全国各地で開かれている「オレンジカフェ」。認知症当事者と家族、地域の認知症サポーターの人たちが語らい、介護について情報交換や相談を行う集いで、タブレット端末を使って映像をご覧いただきました。ここを訪れた方から「ボーリングをしていた若い頃」の話や、「北島三郎の歌がききたい」などの声が聞かれました。
グループホームかたくりの里 六郷東京都大田区
認知症の症状を持つ高齢者が専門スタッフの援助を受けながら、共同で生活を送る介護福祉施設の一つ「グループホームかたくりの里 六郷」のレクリエーションでお使いいただきました。ここでは「希望音楽会(リンゴの唄)」、「鐘の鳴る丘」、「三つの歌」、「今週の明星」など、番組のテーマ曲や当時の人気歌手が出演するラジオ番組に関心が集まりました。また、介護スタッフからは「普段、静かにされている方の表情が豊かになった」、「手をたたいて喜んでくださった」「笑顔がいっぱいでうれしい」などの感想が寄せられました。
デイサービスセンターお多福(認知症ケア研究所)茨城県水戸市
高齢者介護を実践的なアプローチで研究する「認知症ケア研究所」。この研究所に併設するデイサービスセンターの介護レクリエーションなどの時間に回想法ライブラリーのホームページが使われています。特に「むかしの家360」で再現された昭和初期の台所が人気で、子ども時代に過ごした戦後の食糧難の食べ物や着物の話に「そう、そう。」などと共感の声が聞かれ、ほとんどの参加者の顔に笑みが浮かびました。
葛飾区シニア活動支援センター東京都葛飾区
65歳以上で物忘れが気になる方や認知症予防に関心のある方を対象に、毎週開かれている「回想法教室」でお使いいただきました。この日の語りのテーマは「思い出の歌」。戦後間もなくの歌謡番組や、当時の世相をとらえたニュース映像に人気が集まりました。長い間、思い出すことのなかった「母に叱られた」記憶や「マリリン・モンローを見たかった」ときの熱い思いが次々と語られ、笑顔につつまれたひとときとなりました。また、センター職員からは「反応の大きさに驚いた」「また企画したい」との評価をいただきました。
2看護介護スタッフ・研修者(学生)の「学びツール」としての活用
帝京科学大学 医療科学部 看護学科東京都足立区
病気や障害を抱えながら自宅で生活している方への訪問を行なう「在宅看護学実習」で、高齢者の過ごしてきた時代を知り、看護に活かすための「学びツール」として活用されています。お年寄りに「若い頃、豆腐売りをしていた」と話されてもイメージがわかなかった学生が、ドラマ「コラ!なんばしよっと」で桃井かおりさんが演じる映像をみつけ、ラッパを吹いて売り歩く豆腐売りの様子がわかったなど、高齢者への理解が深まり、実践的な看護学実習を行うのに役立っています。
獨協医科大学 看護学部 看護学科栃木県下都賀郡
昔の社会と現代社会を比較して、高齢者に寄り添う「看護のこころや技術」を学ぶ授業で「回想法ライブラリー」が使われています。「むかしの遊び」や当時、人気だった「食べもの」の動画を視聴して「何故、こんなものが流行ったのか?」「こんな生活、今では考えられない」と率直に意見を出し合いながら、入院や療養をされている高齢者の方々に、自分たちが看護師になったら「どんなケアを提供できるのか」をまとめる一助としてお役立ていただいています。
3博物館や資料館の「回想法教室」での利用
NHK放送博物館東京都港区
最近、全国の博物館や資料館で、昔の遊び道具や生活用品などを使って「回想法教室」を開く試みが始まっています。
たとえば、放送博物館では、放送の歩みをわかりやすくするために、昭和30年代の茶の間のドラマ・セットなどを展示しています。生活感あふれる展示物を見て、当時の雰囲気にひたった後、「回想法ページ」で昭和のくらしを描いている映像をご覧いただいたところ、「あの頃(1964年東京オリンピック)が想いだされる」「(映像と同じような)掃除機や(手回し脱水のついた)洗濯機を使っていたの」などの思い出をお聞かせいただきました。