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新十両・尊富士 強さのルーツは

  • 2024年01月12日

今月14日、大相撲初場所が初日を迎えます。
注目される県内出身力士の1人が、十両に昇進した五所川原市出身で24歳の尊富士です。初場所を前に、躍進著しい尊富士の強さのルーツを取材しました。

ひたすら前に出て、豪快に押し出す。持ち前の力強い“押し”相撲で勝利を重ねていき、令和4年9月場所からわずか8場所で新十両へスピード昇進を決めました。

尊富士
「うれしい気持ちと、次に向けて頑張ろうという気持ちがある」

原動力は“強くなりたい”

尊富士は小学5年生から中学校卒業まで地元の「つがる旭富士ジュニアクラブ」で稽古を積みました。そこで尊富士を指導したのが、恩師の越後谷清彦さんです。越後谷さんは当時の尊富士について、とにかく“強くなりたい”という気持ちが強い少年だったといいます。

尊富士の恩師 越後谷清彦さん
「負けん気が強く、芯がしっかりしている子でした。苦手意識も作らず、とにかく強くなりたいと練習に励んでいました。例えば『しこ200踏め、腕立て200回やれ』と言えば、必ず倍以上、3倍、4倍やる子で、頑張り屋だなと思っていました」

尊富士の活躍は「つがる旭富士ジュニアクラブ」の後輩たちにとっても大きな励みとなっています。

「先輩が十両になってすごく尊敬するし、うれしい。すごく誇らしいし自分も強い選手になりたいと強く思います」

越後谷さんは、こうした地元の声を受け止めながらこのまま躍進を続けて欲しいと願っています。

「誰にも優しく、みんなが憧れるような力士になってほしい。そして、けがをしないで、目標とする幕内三役になれるように頑張ってほしい」

強さだけでなく“優しさも”

そしてもう1人、尊富士を支え続けているのが、母親の石岡桃子さんです。
小さい頃の尊富士について母親の石岡さんは…。

尊富士の母親・石岡桃子さん
「やせていて、風邪もすごくひきやすい子で、しょっちゅう鼻水が垂れていました。もしかしたら体が弱い子なのかなと心配していました」

尊富士は4人兄弟の次男。母親思いの優しい子どもだったと言います。

「とにかく優しい。4人兄弟なので子育てが大変でしたが、弥輝也(尊富士)が優しい性格だったので、子育てする上で本当に助かりました」

母親の石岡さんは、尊富士からもらった修学旅行のお土産のティッシュカバーを今でも大切に使っています。

そして、その優しさは今でも変わらず、折にふれ様々なものをプレゼントしてくれると言います。「母の日には花を贈ってくれた」と目を細めていました。

石岡さんは、今後も、息子の活躍を見守り支えていくつもりです。

「相撲のことは言えないので、『みんな応援しているので、頑張ってね』と。将来はたくさんの人に応援される関取になってもらいたい」

“強さ”と“優しさ”を併せ持つ、尊富士。
地元・五所川原の人たちの思いを胸に新十両として初場所に挑みます。

尊富士
「自分の相撲人生の中で、地元の人たちの応援が一番必要なことで、心の支えになっています。十両とは言わず、幕内で見たいと多くの人に言ってもらっているので、高みを目指して持ち前の前に出る徹底した攻めを見せていきたい」

取材後記
尊富士が稽古を積んだ「つがる旭富士ジュニアクラブ」へ取材に行ったのは去年の12月。道場には、稽古で子どもたちがぶつかり合う大きな音が鳴り響き、その迫力に驚きました。尊富士も当時、強い力士になることを夢見て厳しい稽古に励んでいたのだろうと感じました。また、母親の石岡桃子さんにお話を伺えたことで、強いだけではない優しい尊富士の人柄も垣間見えました。強さと優しさ、両方を併せ持つ尊富士。今月14日から始まる大相撲初場所では、尊富士の1つひとつの取組に注目したいと思います。

  • 角田彩子

    記者

    角田彩子

    2020年入局。 北九州放送局・青森放送局を経て2023年8月より八戸支局勤務。 支局赴任後もスポーツを担当しています。小学校から高校まで9年間バスケットボール部。 スポーツをすることはもちろんのこと、スポーツ観戦も趣味です。

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