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1997年/ドイツ、スイス、アルゼンチン合作映画/上映時間1時間35分
出品受賞暦
1998年 ドイツ・カメラ賞劇映画部門受賞 |
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クレジット
監督:シーロ・カペラッリ
脚本:グラシエラ・マリエ/シーロ・カペラッリ/オスバルド・バイエル
製作:アルベルト・キツラー
ライン・プロデューサー:イシドロ・ミゲル
撮影監督:ユルゲン・ユルゲンス
編集:タニア・シュッテクリン
美術:ペペ・ウリア
音楽:グスタボ・ベイテルマン
録音:ハンス・キュンツィ
制作:トランス・フィルム/ヴィデアル/ボイエ・ブック(ドイツ)/シネ・マニュファクチュア(スイス)/C.P.A.(スペイン)/アレフ・プロフィルム(アルゼンチン)
主催:NHK, NHKエンタープライズ21、西友、キネマ旬報、サンダンス・インスティチュート
キャスト
グロリア:アンヘラ・モリーナ
資産家アマード・バサン:パトリシオ・コントレーラス
技師マリオ・ロハス:ダニエル・クスニエスカ
村長マルドナド:ノルマン・ブリスキ
インディオの女ロサ:ルイサ・カルクーミ
貴婦人オノリーナ:チナ・ソリーリャ
アマードの弟ハビエル:ホセ・ファビオ・サンチネット
メイドのファニータ:ジェシカ・カルドーソ |
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【監督プロフィール】
1959年ブエノス・アイレス生まれ。パタゴニアで少年時代を過ごし、カメラマンとして働いたのち、ブエノス・アイレスでは撮影を学び、初期の短編映画作品を数本製作している。ヨーロッパで2年間カメラマンの仕事をしてから、1985年にベルリンへ移り、映画・TVアカデミー(DFFB)で学ぶ。
1990年からは脚本家、監督、撮影監督として、ドイツ、スイス、アメリカ、アルゼンチンで仕事をしてきた。ライティング・カメラマンとして参加した様々な作品には、マーセル・ギスラー監督の「青い時(Die Blaue Stunde)や、1994年の米・アカデミー最優秀短編映画賞を受賞した「無免許運転手(Schwarzfahrer)」などのディディ&ペぺ・ダンカルト監督作品がある。
自らの監督作品、「Amor America」(ドキュメンタリー/89)と「川の子供(Hijo del Rio)(91)は故郷アルゼンチンが舞台。「Amor America」で彼は既にアルゼンチンのインディアンの生活、伝統、闘いの目的を描いていた。そうしたテーマは本作でさらに追求されている。
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【あらすじ】
パタゴニア、アンデス山麓の広大な黄土色の砂漠地方。容赦なく吹きつける風がけい峡谷を荒らす。毎年夏にここへ渡ってくる無数のフラミンゴたちが目指すのは、陽光降り注ぐ湖の数々。だが、その年の訪問者はフラミンゴだけではなかった。さびれた家々とごつごつした道しかない、運命から見放されたようなこのサン=ロレンソ村を訪れたのは、ブエノス・アイレスの若き測量技師マリオ・ロハス。彼は、娯楽用の蒸気船を陸上輸送するルート作りのためにやって来たのである。地元の市民にとって、これは最大の出来事であった。このプロジェクトが彼らの経済を向上させ、単調な日常生活から彼らを解放することは確実だ。
村に到着した日、マリオは通りすがりの洋品店のショー・ウインドで美しい女性グロリアを見かける。こんな淋しい村にいるのは不都合なほど魅力的な女性だが、仕事で不在がちな年老いた夫エミリオの留守に、村長マルドナドをはじめ男たちを連れこんでいる女でもあった。そしてマリオとグロリアは一目で心惹かれていく。
マリオは翌日から、早速、谷の測量にとりかかった。助手になったのは、土地の資産家アマード・バサンの弟ハビエルだった。アマード、エミリオそして村長らは、この土地の発展を祝うふりをしながら、実は鉱山の開発と共に莫大な利益を上げようとしていた。
村長の歓迎パーティーに招かれ、大きな注目を浴びたマリオだったが、行方不明の父を捜すインディオ、ロサに手を貸した時、人々の目に警戒の色が加わり始める。マリオのかたわらには、情事の相手となったグロリアがいた。彼女は夫の急死によって、土地の問題に自ら関わるようになる。
インディオの土地には鉱山があり、陸上輸送計画によって地価の上昇が見込まれていた。インディオは、アマードに出会うといったままの姿を消していた。ロサが警察に捜査を依頼しても、アマードは村を牛耳る権力者であるため、誰も彼を調べることはできなかった。そしてロサに残されたのは、一個の石だった。その石が謎を解くきっかけになると考えたマリオは、研究所に送って調べさせるのだが、アマードはマリオに、インディオに近づくなと警告し、賄賂をもちかけるのだった。
一方、アマードは金にものを言わせて、遥かに年の離れた13歳のメイド、ファニータに性的な奉仕を求めていた。村で最長老の婦人、オノリーナは自分こそが村の秩序を守らなければならない人間だと自負し、日夜、望遠鏡で人々の生活を監視していた。そんなオノリーナがアマードの異常な性生活を見逃すはずもなく、ファニータと結婚するようにとアマードに勧告する。そしてファニータに結婚話を打ち明けられたグロリアは、かつて自分も初老のエミリオと結婚をし、淋しいこの村に居続けなければならない運命を選んだことを深く後悔していたことを告げ、結婚をやめるようにと説得する。しかし、幼いファニータは結婚の意味も考えず、実家を助けるために、投げやりな気持ちで嫁ぐのだった。
インディオが知らずに持っていた石には、金が含まれていたことが明らかになった。マリオはグロリアに一緒に村を出ようと持ちかけるが、彼女は永い結婚生活の束縛から自由になった身を楽しみ、この村で暮し続けることを決心する。
橋が架かり、村中がお祭り騒ぎとなる。その日、トレネタ地方で地震が発生し、政府はサン=ロレンソの工事の中止を決めた。マリオはグロリアに石の分析書類を渡し、人々が日蝕を見守る中、村を去って行く。そして、マリオの車の荷台には、アマードを撃ち殺し逃げてきたファニータの姿があった。
フラミンゴたちが再び空へ旅立つときが訪れるが、サン=ロレンソではうわべは何事も以前と変わらぬかのようだった。
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