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NHK ASIAN FILM FESTIVAL NHKアジア・フィルム・フェスティバル
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ペパーミント・キャンディー Bakha Satang / Peppermint Candy ペパーミント・キャンディー
1999年/韓国・日本/カラー/135分

●1999年 プサン国際映画祭オープニング
●2000年 デジュン(大鐘)映画祭グランプリ・最優秀監督賞・最優秀脚本賞・最優秀新人男優賞・最優秀助演女優賞
●カンヌ映画祭監督週間出品
●カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭審査員特別賞・FICCドンキホーテ賞・NETPAC賞スペシャルメンション
【 物 語 】
1999年春。かつて同じ工場で働いていた仲間たちの集い。20年前に同じメンバーで来た川岸でのピクニックで、今や40代になった男女が飲み、歌っていると、連絡がとれなかったはずのキム・ヨンホがひとりだけ場違いなスーツ姿で現われる。だが、久しぶりの再会だというのにヨンホはほとんど喋らないまま急にマイクを握って熱唱したあと、鉄橋に登ってしまう。近づいてくる列車の汽笛にも微動だにせず鉄橋の真ん中に立ったままのヨンホの脳裏に、次々と自分の過去が現われては消えていく。事業に失敗し、妻子とも別れ、自暴自棄になっていた数日前に思いがけず果たした、遠い昔の初恋の人スニムとの悲しい再会。5年前は事業が成功し、豪華な新居に引っ越したところだった。その6年前は……その3年前は……妻の浮気があり、自分の浮気があり、刑事だった自分がいて、思いとは裏腹にスニムに冷たくしてしまった自分がいた。いつも手紙にペパーミント・キャンディーを入れてくれたスニム。やがてヨンホの心は初めてスニムと気持ちが通じあった20年前のあのピクニックの日に戻っていく。輝く未来を信じ、人生は美しいと心から思えていた、今となっては遠い遠いあの日に。そして、列車は近づいてくる……。

【 解 説 】
『ペパーミント・キャンディー』はデビュー作『グリーン・フィッシュ』が韓国国内はもとより、バンクーバー映画祭など、海外からも絶賛されたイ・チャンドン監督の2作目。生きていくことに絶望した四十男ヨンホが、死の直前に過去20年の自らの人生を逆回りにたどって行くという時間旅行を描いている。
流れ行く「時間」を効果的に表現するのに監督が小道具として選んだのは、写真と列車。主人公ヨンホが20歳の時に憧れていた写真家という職業は、消え去ってしまう今この一瞬を、永遠にとどめておきたいという人間の空しいまでの欲望を具現化した存在として描かれる。
そして全体が7つのチャプターに分かれたこの映画のインタールードとして挿入されているのが、高原を走って行く列車。よく見ると、その横には後ろ向きに進んでいく自動車や鳥の姿が。「フォワード・トゥ・パスト」と監督自身が説明するように、単に過去に「戻る」のではなく、ヨンホが自分の人間性の原点を探し求めながら進んでいく旅なのだ。
彼がさかのぼる過去20年間の歳月は、そのまま韓国という国の現代史に重なっていく。特にヨンホのその後の人生に大きなトラウマとして残るのが、1980年の光州事件。すべての韓国人に深い傷跡として残るこの事件も臆することなく真っ正面から捉えている。
主人公ヨンホに扮したソル・ギョングは、『虹鱒』『虚空に立ち止まる鳥』『幽霊』そして本作と、その出演作4本がまとめて今年のプサン国際映画祭で上映され、『八月のクリスマス』『シュリ』のハン・ソッキュに次ぐ若き演技派として一躍、注目を浴びている。演技というより、まさしくヨンホになりきった鬼気迫るその表現力は、ソル・ギョング本人が『ペパーミント〜』はあまり思いだしたくない映画、と公の場で発言したほど熱が入ったもの。純朴な青年が、兵士として光州事件に遭遇してしまい、一人の少女を撃ち殺してしまったことから人生を狂わされていく様を全身全霊をこめて演じきっている。
プロデューサーのミョン・ケナムは、韓国を代表する名バイプレーヤーで、『グリーン・フィッシュ』ではハン・ソッキュ扮する主人公が与した組織に敵対する大ボスを演じていたのが印象的。昨今の韓国映画界の最大の問題である「スクリーン・クオータ制度死守運動」のリーダーの一人としても活躍している超大物。
三 原 繁 美

イ・チャンドン監督からのメッセージ
『ペパーミント・キャンディー』では過去に向かって時間が逆に流れる。私やほかの韓国人が通り過ぎてきた時間とはどういうものだったのか?そんな疑問に答えを見つけるため、時間という外殻や色褪せた錆を取り除きつつ時を遡り、“20歳の若者”を探しに行った。この作品においての時間を遡るという行為は、感傷的なノスタルジアや、現在よりも過去に重きを置くという趣向からくるものではない。現代に生きる若者にとってある時期の若者と接点・共感を見出すきっかけを提供するものになれば嬉しいし、少しだけ先の時代を生きた世代から多少なりとも何か学ぶべきものを汲み取ってくれれば本望だ。ラストシーンで描かれている純粋でフレッシュな20代の若者に、今の若者が共感してくれればと願っている。
Bakha Satang / Peppermint Candy
イ・チャンドン監督

イ・チャンドン監督
1954年大邱(テグ)に生まれる。1980年慶北大学国語教育学科教育大学韓国文学部を卒業。1981〜87年学校教師として勤務。1983年小説「戦利」で小説家デビュー。東亜日報新春文学賞受賞。1987年小説「焼紙」「親忌」「紐」などを次々に発表。小説「運命について」で李箱(イ・サン)文学賞最終選考に残る。1992年小説「鹿川には糞が多い」発表。1993年第25回韓国日報文学賞受賞。友人パク・カンスーの依頼により、映画『あの島に行きたい』の脚本を執筆。助監督としても参加。1995年『美しき青年 全泰壱(チョン・ティル)』の脚本を執筆。1996年映画『グリーン・フィッシュ』の脚本を執筆。ムン・ソングン、ミョン・ケナムなどの俳優たち、ヨ・ギュンドン監督とイースト・フィルム社を結成。イースト・フィルム社第1回製作作品『グリーン・フィッシュ』で映画監督デビュー。1997年2月、『グリーン・フィッシュ』が韓国で封切られる。第33回百想芸術大賞最優秀新人監督賞、最優秀脚本賞受賞/第17回映画批評家賞最優秀新人監督賞受賞/第35回大鐘映画祭特別審査員賞、最優秀脚本賞受賞/第18回青龍賞最優秀監督賞受賞/第16回バンクーバー映画祭ヤングシネマ部門龍虎賞受賞。1998年シネ21最優秀監督賞受賞。「国内映画割り当て監視委員会」のスポークスマンとして活動。1999年韓国の芸術振興を目的とする投資会社「ユニコリア文芸投資株式会社」にて指導的役割を担う。

スタッフ:
監督/脚本:イ・チャンドン
製 作:ミョン・ケナム、上田 信(NHK)
製作補:チョン・ジェヨン、ジェイ・チョン、飯野恵子(NHKエンタープライズ21)
撮 影:キム・ヒョング
照 明:イ・ガンサン
美 術:パク・イルヒョン
音 楽:イ・ジェジン

キャスト:
ヨンホ : ソル・ギョング
スニム:ムン・ソリ
ホンジャ:キム・ヨジン


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