NHKスペシャル

震災を生きる子どもたち 21人の輪

地震・津波・原発事故の影響を強く受ける福島県相馬市で暮らす6年生たちを1年間にわたって見つめたドキュメンタリー番組です。
家族も家も失い仮設住宅で暮らしながらも、夢をあきらめない女子・・・。
風評被害に頭を抱える父を気遣いながらも、農業を継ぎたいと語る男子・・・。
幼稚園のころからの親友が亡くなり、父親のレストランの再開に希望を託す女子・・・。
子どもたちは震災という“非日常”に何度も負けそうになります。しかし、悲しくなった時、つらいとき、気がつけばいつもそばに友だちがいました。そして、少しずつ“日常”を取り戻していきます。そして、いつしか“非日常”に疲れ果てた大人たちをも元気づけ、前に進む力を生み出していきます。
今なお、厳しい暮らしが続く福島県で、地域の人たちにとって「希望の灯」となっている子どもたちの奮闘ぶりに寄り添います。

ナレーション:手嶌 葵(歌手)

放送を終えて

2011年4月、2週間遅れで新学期が始まる福島県相馬市立磯部小学校へ向かうスクールバスは、再会を喜ぶ子どもたちの声で満ちていました。しかし、車窓に広がるのはがれきと化した故郷の姿。この番組の撮影は、そんな状況のなか始まりました。想像だにしない災害に遭遇した子どもたちの生の声を記録しようと、取材は14か月にわたりました。
深い悲しみや不安を抱えながらも、撮影に応じていただいた磯部小学校の6年生たち、先生方、他の学年の子どもたちに、心より感謝したいと思います。本当にありがとうございました。みなさんの悩み、そしてがんばりを、決して忘れないようにしたいと思います。
放送後、子どもたちからは「少し恥ずかしかったけど、家族が喜んでいるからよかった」などの声をもらいました。それで、「今度はいつ遊びにくるの?」と聞かれました。地域の方々からは、「震災から1年以上がたち、忘れられようとしている相馬の実情を、リアルに描いてもらった」「地元の小学校の子どもたちに励まされている気がした」などの声をいただきました。また、子どもたちが今通っている磯部中学校からは、「この1年の子どもたちのがんばりがよくわかった。これからは私たちがサポートしたいと思う」という心強いお話しをいただきました。
番組をご覧いただいた全国の方々から「このあとの子どもたちの様子がとても気になる」との感想が届いています。今後も私たちは、継続的に被災地の子どもたちの声に真摯(しんし)に耳を傾けたいと思います。

プロデューサー 福井 徹