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誤えん性肺炎の予防へ 災害時に少ない水で行う口腔ケアの方法

  • 2024年1月10日

東日本大震災や熊本地震など過去におきた大きな災害では、口の中の細菌が唾液とともに肺に流れ込んで肺炎を起こす「誤えん性肺炎」の患者が増え、死亡するケースもありました。

地震の影響で断水している地域では、口の中を歯磨きなどで清潔に保つことがおろそかになりやすく、「誤えん性肺炎」のリスクが高まります。

水が不足した環境でも行える「口腔ケア」の方法をまとめました。

水不足でもできる口腔ケア

〇水が少ない場合

日本赤十字社東京都支部の看護師、山口玲子さんに水が不足した環境でも行える口腔ケアの方法を聞きました。

コップを2つ用意し、それぞれ水を入れます。

片方のコップの水で歯ブラシをぬらし、歯を磨きます。

歯磨き粉がある場合は、少量にとどめます。

磨いてる途中で歯ブラシが汚れたらティッシュなどで拭き取ります。

磨き終えたらコップの水に歯ブラシを入れ、汚れを落とします。

口をゆすぐときは、もう片方のコップの水を使います。

一気に口に含まず少量で2、3回に分けてゆすぐ方が効果的だということです。

歯磨きをする時は、水でぬらしたティッシュペーパーで軽く唇を拭き、口の周りも清潔に保つことが大切です。

〇水がほとんど無い場合

アルコール成分を含まないウエットティッシュか、水でぬらしたハンカチやティッシュペーパーで歯や口の中の汚れを拭き取ります。

〇水が全くない場合

ウェットティッシュもないときは、だ液を利用します。

だ液には、抗菌作用があるということです。

だ液が出にくい場合は、奥歯の横のあたりや前あごの下をマッサージすると出やすくなるということです。

〇入れ歯も1日1回はケアを

入れ歯を使っている人は、1日1回は取り外し、水やウエットティッシュで拭いて清潔を保つようにします。

誤えん性肺炎とは

山口さんによりますと、口の中が清潔に保たれないと「誤えん性肺炎」のリスクが高まるということです。

「誤えん性肺炎」は、食道に運ぶ食べ物やだ液が、誤って気管に入り込み、細菌が肺で繁殖して炎症を起こす病気です。

口の中が不衛生なまま飲食すると、飲み込む際に多くの細菌も一緒に運ばれることになります。

特に高齢者は、食道に運ぶ力が低下するため、気管に入りやすく注意が必要だということです。

日本赤十字社 東京都支部の看護師 山口玲子さん
「口腔ケアの大切さを知ってもらうことが災害関連死を防ぐことにもつながる。高齢者は、免疫力も低下しやすいので、特に意識してケアをしてほしい」

“災害直後 口腔ケアが十分できていないことも”

「口腔ケア」が命を守るうえでも重要となります。

東京医科歯科大学大学院の中久木康一非常勤講師は、次のように訴えています。

中久木康一 非常勤講師
「誤えん性肺炎は、通常時でも高齢の方に多いが、災害の発生直後は人手不足の中で口腔ケアが十分にできていないことが多い。災害時は栄養も足りず抵抗力も落ちているので、介護が必要な手前のフレイルの状態になるのを予防する取り組みも含めた対策が必要だ」

そのうえで、次のように話していました。

「過去の災害では、老人ホームなどの介護施設から誤えん性肺炎で入院された方は多いというデータがある。現在、施設にいる人や、自宅で介護を受ける人などには、口腔ケアをどうすればいいのかという情報が届いていない懸念もあり、どんどん情報共有してほしい」

 

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