回復傾向にあるインバウンド需要を取り込もうと、関東有数の温泉地、群馬県渋川市の伊香保温泉などと羽田空港を結ぶ高速バスが11月から運行されることになりました。
羽田空港からの直通バスの運行を受けて、行き先の1つ、四万温泉からは、期待の声が上がっています。
日本を訪れる外国人旅行者の数は、ことし8月まで3か月連続で200万人を超え、インバウンド需要の回復傾向が鮮明になっています。こうした需要を取り込もうと、渋川市の会社が、11月1日から伊香保温泉や群馬県中之条町の四万温泉と羽田空港を結ぶ高速バスを運行することになりました。
具体的には、現在運行している東京駅と四万温泉を結ぶ路線に伊香保温泉を経由させた上で、発着地を羽田空港まで延伸して毎日1往復し、外国人旅行者の利便性を高めるということです。
県内に宿泊した外国人の数は、新型コロナの影響で去年はコロナ前の16%ほどの4万6000人余りにとどまっていて、地元では、バスの運行によって客足の回復につながればと期待を寄せています。
バス会社 企画部 若木亮副部長
「円安で外国人旅行者が訪れやすくなっているので、この路線を使って県内の温泉を利用してもらいたい」
羽田空港からの直通バスの運行を受けて、行き先の1つ、四万温泉からは、期待の声が上がっています。
レトロな昭和の面影を残す四万温泉は、古くから湯治場として知られていますが、宿泊客のうち外国人は1%ほどにとどまり、インバウンド需要の取り込みが課題となっています。
中東のイスラエルから日本に観光に訪れた24歳の女性は、10月5日に東京からバスに乗って四万温泉を訪れました。
女性
「友人からとても美しい場所だとすすめられたので来ました。新しいバス路線は空港から四万温泉に直接来たいという人にとってはより便利になると思う」
四万温泉協会の宮崎博行 事務局長
「羽田空港からの直通バスが、全世界から日本に来る人たちに四万温泉を知ってもらうきっかけになると期待している。キャッシュレス化の促進などで、外国人客を迎え入れる環境をさらに整えていきたい」
四万温泉では、外国人旅行者の受け入れに向けた取り組みも進んでいます。
中之条町の高校に通う町田ひなのさんは、外国人に四万温泉の魅力を知ってもらおうと、英語の観光マップを作りました。
町田さんは、マップを作る上で、学校のALT=外国語指導助手などから意見を聞き、他人との入浴に抵抗がある人のために、貸し切り風呂の有無などの情報を盛り込みました。
また、群馬のソウルフード「焼きまんじゅう」もどのような食べ物か英語で詳しく説明しています。
このマップは60部作られ、今後、必要に応じて地元の温泉協会が増刷する予定だということです。
町田ひなのさん
「私が作ったマップを使って、外国人旅行者がいろいろな場所を訪れて、四万温泉の魅力を発見してほしいです」